会長選=間接選挙に戻る?=公聴会で過半数が支持=ブラジル日本文化協会=1世らは「直接」推す=定款改正案=近く臨時総会で決議

2006年1月12日(木)

 ブラジル日本文化協会の定款改正委員会(原田清委員長)は九日夜、貴賓室で会長選挙に関する公聴会を開き、約五十人が参加し、十六人が意見を述べた。一世らを中心に直接選挙を推す声も出されたが、評議員会が理事を指名する間接選挙への支持が半数以上を占めた。文協五十年の歴史で初めて実施された昨年の直接選挙だったが、以前の方式に戻りそうな雲行き。同委員会では十九日までに改正案を理事会に提出し、早い時期に臨時総会を開いて決議する見通し。
 最初に、上原幸啓会長は「重要な案件であり、言葉遊びに終わらない責任ある討論をお願いしたい」とあいさつした。新民法にともなって定款を修正し、直接選挙となった昨年だったが、同六月には再び民法が改正され、結局は間接選挙でもよくなった。
 争点は次の三点。《1》理事の選任は直接選挙(会員全員で投票して総会で選ぶ=現状のまま)、間接選挙(評議員会で理事全員を選ぶ)、一部直接選挙(会長ら理事の一部を総会で選出して残りを会長らが指名する)のいずれにするか。
《2》総会で、委任状による代理投票を認めるか、認めるとすれば何人までか(現在は十人まで)。評議員会は何人か(現状は二人まで)。《3》評議員会の正・補メンバー数は何人が理想的か(現在は正評議員百五十人、終身評議員四人、補充評議員五十人)。
 一番に意見をのべた渡部和夫氏は、文協は五十年間も間接選挙をやってきた伝統があると強調し、「必ずしも直接投票が民意を反映するとは限らない」と間接選挙への改正を支持する論陣を張った。
 昨年の会長選挙で話題を呼んだ谷広海氏は一部直接選挙。評議員になっている日本進出会員企業に聞いても、「えっ、うちが評議員なんですか」と知らないところが多いという。「百五十人もいるのに、総会には三十人以下の出席しかない評議員会が理事会を指名するのはナンセンス」とし、「ここでコロニア全体に関わる重要なことを決めるのはよくない」。さらに「委任状はなし」と提案。その代わりに不在者投票、郵便投票を認めることで、積極的に地方会員の声を反映させるべきと論じた。
 唯一の地方からの出席者、尾崎守評議員も直接選挙を支持、もっと全伯日系団体の意見を取り入れてほしいと要請した。
 ピラチニンガ文協元会長の柳沼啓太郎さんは「創立した一九五〇年以来、ずっと間接選挙で、なんら問題なかった」と間接方式を論じた。林アンドレ、重田エウゾ、平山イナシオさんらも間接選挙を推した。
 伝田英二さんも「評議員の本来の仕事は評議(重要な事柄を相談すること)して計画を作ること。現在は追認するだけになってしまっている。その計画を実行するのが理事会。選挙を実施なくても、定款を変えて評議員の権限を強化することでもっと適正な活動にできるはず」と間接選挙を支持した。
 会員の代表たる評議員を大幅に入れかえ、日系社会の実態を反映した年齢層や性別のメンバーにすることを提案した。その中から理事会を選ぶことで、日系社会全体の代表としての機能するはず、と語った。
 一方、一部直接選挙を主張する小山昭朗さんは「四年前も評議員会から選ばれたが、文協の問題をよく知った人がなったとは思えない。それを知るだけで半年かかっている現実がある。直接選挙で、改革する強い気持ちをもったリーダーになってもらう方が理想的」と論じた。
 他人から推されるのを待つ人でなく、「自分から立候補して、文協活性化のために心底やる気のある人材こそが求められている」と語った。
 公聴会の後、原田委員長は「経験豊かな人の考えなど、質の高い意見が聞けて満足した」と感想をのべた。今回特別に開いた理由を「昨年直接選挙をしたのに、間接に戻したら〃後退した〃と批判する会員が出てくるかもしれない。それにこの三点は、法律的でなく政治的な問題なので、みなの意見を聞くことが必要だと考えた」と説明した。さらに新民法後、実際に「直接選挙を実施している団体をほとんど知らない」とも語った。
 十六日に同委員会を行い、議論を煮つめ、十九日までに理事会に定款改正案を提案する予定。