新潟中越地震の実態=2世大河さん=サンパウロ市で写真展=調査の合間に撮影=「被害の恐ろしさ知って」

2006年1月18日(水)

 一昨年十月に起きた新潟中越地震の恐ろしさを伝える写真展が二十四日から三日間、国際交流基金日本文化センターで開かれる。
 当時留学中で、被害の実態調査に参加した二世の大河功さん(28)=サンパウロ市在住=がデジタルカメラで撮影したモノクロ写真四十点を集めたもの。
 「これからデカセギや留学で訪日するブラジル人に地震被害の恐ろしさを少しでも知ってもらいたい」と、大河さんは話す。
 サンパウロ大学建築学科卒業。その後「JICA日系留学奨励制度」を利用し、父親の充さん(64)の故郷秋田県へ留学。秋田県立大学大学院で建築環境システム学を専攻した。
 同地震発生後、担当教授から被災地の実態調査に誘われた。任務は被害家屋を写真で記録すること。全国から集まった学生らと震源地の川口町や、最も被害が深刻だった山古志村などを歩いた。調査には計三カ月間を要した。
 カメラが趣味の大河さん。「被害の悲惨さをさらにアピールできる写真を」と思い立ち、被災地の惨状をさまざまな角度からとらえた。そうして撮り貯めたものが今展に並べられる。
 倒壊した衝撃で屋根が吹き飛んだ家屋、ぐにゃり変形し亀裂が入った道路など、地震の破壊力の大きさを克明に物語る。一瞬にして奪われた平穏な暮らし。陰影の深いモノクロ写真だけに、いっそうその凄惨さが見る側に迫ってくる。
 「二カ月後に発生したスマトラ沖地震に世界の関心が流れてしまっている間も、新潟中越地震の被災地は三十年ぶりの大雪などの影響で被害が拡大していた。山古志村はいまも復旧のめどが立たない状態。そんな事情もこの機会に振り返ってもらえれば」
 展示される四十点の中には、自然と人を独特の視点からとらえた写真で知られる雑誌「ナショナル・ジオグラフィック」の、デジタル写真コンテスト(二〇〇五年七月)入選した作品も含まれるという。
 入場無料。二十四、二十五、二十六日のいずれも午前十時から午後五時まで。会場住所はパウリスタ通り37、2階。JICAと国際交流基金が後援。