コラム 樹海

 「ライブドア」の堀江貴文社長は伊達や酔狂で伸し上がった人ではない。東大中退とかだが「株式分割」に着目したあたりは、凄い―の言葉に尽きる。1株を100分割すれば株価は100分の1に下落する。確かに理論的にはこの通りなのだが、現実の株式市場の動きは異なる場合が多い。株式を分割すれば新しい株券を印刷し、株主に渡すまでには最低でも2か月はかかる▼この間―。株主は事実上、株式を売ることができないし、市場には買い注文が殺到し、株価は急騰する。通称―ホリエモンは、この手法を使って大儲けしたのである。昨年、大騒ぎになったニッポン放送の買占めでも、最終的には400億円の利益を得たとされる。これらに必要な資金の捻出も、株式分割による。ライブドアはこの3年間で4回も分割し1株を3万株に膨らませた。そうすると、株の時価総額は増大し、これを使って資金を集め企業買収に進むーの構図だとマスコミは指摘する▼ホリエモンは、これによって急成長し億万長者―いや百億長者になったけれども、危ない橋を歩いてきたの謗りも多い。その結果が強制捜査となったのだが、どうも方々に疚しいところがありそうだ。特捜部の捜索に嫌気がさしたのか、株主らも一斉に売り方になる。19日には買い注文が19万株に対し、売りは2億九千万株に膨らみ収拾がつかないらしい▼このためライブドアの株は時価総額が6000億円もの評価損をしたの計算になるそうだ。どうやらIT産業というのは、儲けるのも早いが、損をするのも迅速らしい。  (遯)

06/01/21