水稲品種改良に貢献=コシヒカリ国際賞=安藤さん(ピラシカーバ)が受賞

2006年2月2日(木)

 福井県が行っている顕彰事業で稲作の発展に貢献した研究者に贈られる「コシヒカリ国際賞」の本年度受賞者にピラシカーバ在住の安藤晃彦さん(73)が選ばれた。
 日本人に馴染みの深い水稲品種コシヒカリは福井農業試験場で一九五六年に育成されたことから、同県が国際的な稲作の発展と支援を目的として九五年に創設。昨年度は韓国とインドの技術者が受賞している。
 安藤さんは五八年に東京大学農学部を卒業後、翌年来伯。六〇年にピラシカーバ農大遺伝学科に招聘されて以来、放射線育種を利用した突然変異誘発による新品種育成に尽くし、同大学の教授として教鞭を振るった。
 なお、半世紀にわたってブラジルの水稲品種改良にも貢献。そのなかでもサンタカタリーナ州農業試験場の研究グループと共同で育成した新品種で安藤氏の名前を冠した「ANDOSAN」は生産性も高く、今年から普及栽培が始められる予定だ。
 昨年はブラジル水稲学会からも表彰もされており、現在もサンパウロ大学農業原子センターの客員教授として後進を育てている。
 昨年九月に福井県日伯友好協会から福井県人会(志田茂夫会長)に打診があり、ブラジル農業拓殖協同組合中央会が推薦、今回の受賞に繋がった。
 安藤さんと志田会長は来伯当初、同じペンソンで約四カ月暮らした「同じ釜の飯を食った」仲。志田さんは安藤さんに電話連絡。旧交を暖め、母県からの顕彰を喜んだという。
 安藤さんは「自分のやってきたことが日伯両国から認められたっていうのは、やはり嬉しい」と移民ならではの感慨を語った。
 授賞式は四月十五日に福井県で行われる。