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イベントを成功に導くには=桜井さんが「組織講座」=連載(上)=式典は進行表用意を=第三者の進行役を決める

2006年2月7日(火)

 コロニア団体主催の各種イベントをより成功に導くには―。ジェトロ・サンパウロの桜井悌司所長は、一月十七、二十、二十三日の三回にわけて、文協役員、県連役員、ブラジル日本移民百周年記念祭典委員会の役職員らを対象に「イベント組織講座」を開催。各二時間の講演となり、毎回約三十人が集まった。同氏は、ジェトロ入会後、三十八年にわたり展示会や博覧会業務に従事。それらの経験をもとに県人会などの式典、さくら祭り、フェスティバル・ド・ジャポンを例にあげながら問題点と改善策について述べた。
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▽県人会などの式典
 今まで出席した式典の中で最初から最後までスムーズに進行したケースは非常に少ない印象を受けるという桜井さん。式次第の順番間違い、司会者の敬語の使い方、時間通りに始まらない、式典の時間が長いなどの問題点を挙げる。また、どの県人会の式典もほとんどが同じ式次第で魅力がないという点も指摘する。
 式典をスムーズに進行するにはまず、全体の流れがわかる進行表を用意すること。「これさえ作れば頻繁に間違う来賓者やスピーカーの紹介などが解決できる。また、進行表を事前に会長などがチェックしておけば、式次第の進行、敬語の使い方のトラブルも減る」。これらを日本語、ポルトガル語で作成すると将来のあらゆるイベントにも役立つ。
 式典の進行役を決めておくことも重要だ。「会長が何度も席を立って指揮しているのを見かける。この姿は見ていて美しいものではない。進行役は、前に座る会長でもなく、司会者でもない第三人者を選び、その人が式典の進行に全責任を持つようにしたほうがよい」。
 また、出席者の多くが高年齢者で次世代を担う若者が非常に少ないことも憂慮している。「日本語主流の式典の流れも近い将来、変えていったほうが良い」。最近では奈良県人会がやり方を変え、移民博物館で式典を行ったことを話にあげた。
 お互いに県人会の活動を十分に知らないということも問題の一つ。そのため、県連は年に一度、最も輝かしい活動を行った県人会を表彰する制度を作るべきだ、と提案した。「表彰の対象は、総合賞、日常の活動に功績のあった県人会に対する表彰、最もうまく式典を挙行した県人会などが考えられる」。
▽さくら祭り
 桜井さんは去年、はじめてさくら祭りを見学した。「非常に良かった」と感想を話し、「一つはバスの手配。より組織的に行い、乗客を待たせないようにすることや出発時間などバスの時刻を決めておくこと」と、さらに祭りをよくする提案をした。
 よりたくさんの人に参加してもらうためには餅つき、けん玉、ヨーヨーなど子どもが集まりやすい場所をつくることが大切。体育館も使用し、テニス教室やお手玉大会、習字教室などを催すのも一つの案だ。サンパウロ日本人学校にも広く声をかけ、家族揃って参加してもらうこともねらいだと話した。
 そのほかには、「文協五十周年記念式典開催チェックリスト」と題したレポートで、イベント進行に必要な点を挙げた。何時どこでどのような性格と内容の式典にするのか、予算計画など基本計画の策定をはじめ、司会進行役、指揮官の決定、会長あいさつ、表彰式、一般招待者への案内など詳細に説明した。  (つづく)

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