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不動産の寄贈はあるが…=援協、処置に〃悩む〃ことも=世相を反映している無償譲渡

2006年2月28日(火)

 日系コロニアの〃よろず相談所〃であるサンパウロ日伯援護協会(酒井清一会長)。寄付金や物品寄贈など様々な形の協力が日々、寄せられている。数としては少ないものの、その中で興味深いのが、不動産の寄贈かもしれない。
 坂和三郎広報委員長によれば、援協が所有している不動産は市内外などに五件ほど。イタンニャン、マイリポラン、モジ・ダス・クルーゼスなどにある。評価額も数千~一万を超えるものまで様々だ。
 先の理事会(二月十六日)で、イタンニャンのシャカラについて報告があった。この土地は、コロニアの資産家が無償で譲ってくれたもの。八千レアルの価値がある。ただ、不便な場所に位置しているため、評価額で第三者に売れるか,どうか疑問が残るそうだ。
 土地の寄贈があった場合、福祉部が受け持ちになる。所有権移転の手続きには、手間がかかることも少なくない。「不動産を譲ってもらうなら、金銭に換えた後に受け取ったらどうか」という意見が理事会で出るくらいだ。
 坂和委員長は「好意としていただくものだから、ぜいたくなことは言えません」と話す。土地は販売すれば相当の収入が見込まれるものの、ディレンマに悩むことがあるそうだ。
 寄贈の理由には、(1)家屋を無償で譲渡する代わりに老人ホームに入居したい(2)地方の治安が悪化したので、土地を売って町に移りたい──など、世相を反映した理由が考えられている。

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