邦楽「日蓮」を演奏=琴、尺八、コーラスなど64人――カンポスの劇場、太刀さん指揮=さくらホーム支援行事全員ボランティアで

2006年4月7日(金)

 【既報関連】カンポス・ド・ジョルドン市で先月二十五、二十六日、開催されたさくらホーム支援歌謡祭(辻雄三実行委員長)の初日、邦楽の「日蓮」が、箏曲「宮城会」(小倉祐子代表)、和楽「美和会」(斎藤ミリアン代表)らによって演奏された。奏者、コーラス合わせて六十四人という大掛かりなもの。いい舞台を得て、伝統の曲は非日系人の聴衆をも感激させた。指揮をした太刀(おおたち)村上ミリアンさんは、邦楽は非日系人にとって興味深く、日本文化の格好の宣伝になると言う。サンパウロ州文化局の関係者も今回の演奏を大いに歓迎した。
 歌謡祭は、カンポスのクラウジオ・サントーロ劇場で催された。二日間の出演者は全員ボランティア。
 「日蓮」は、宮城道雄(作曲)と佐野前光(作詞)の作品。今回は音楽教師・指揮者の太刀さんの指揮で演奏された。奏者は、宮城会の五人、美和会の九人、尺八は都山流深山会の五人さらにバイオリン、タンボール、トリアングロなど。これにテノールの小野ミチオさん、「しらはに」「ASEBEX」「椎の実学園合唱団」の合唱三十八人が加わった。「日蓮」の演奏時間は三十分で、うち合唱はおよそ半分の十五分。
 ブラジル在住者だけで、これほど大掛かりな「日蓮」の演奏をしたのは、指揮者の太刀さんによれば、初めて。太刀さんは、美和会とのつきあいが十五年ほどになり、機会をとらえては洋楽との交流・合同演奏の場を設けている。
 五日午後、今回の演奏について「非日系人の邦楽に関心のある人たちは、琴をことのほか好む。日本文化としてしっかり位置付けている。練習次第で、今後、非日系人からも琴の奏者がたくさん出てくるでしょう」と語った。
 一方、今回の芸能祭に物心両面で協力したサンパウロ州文化局東部地区支所(サンジョゼ・ドス・カンポス)のデレガード、エリアネ・マッシャードさんは、箏曲に大きな関心を寄せ、「今度だけで終わらせるのは惜しい」といい、機会があれば、演奏の機会を設けたい意向のようだ。
 歌謡祭の初日、「日蓮」演奏のほか、和太鼓、日本民謡、日本舞踊、詩吟など伝統芸能のほか、ロシア、ウクライナ、リトアニアの民族舞踊も披露された。天候にあまり恵まれなかったので出足は今一つ。関係者からは宣伝の不足も指摘された。
 二日目は、ブラジル日本アマチュア歌謡連盟の協力による、サンパウロ州、パラナ州からの歌手二百人余を集めた大きな規模の歌謡祭であった。「歌唱者は歌唱料を支払う」というボランティア歌謡祭であり、実をあげた。