コラム 樹海

 日本で日本語指導が必要な外国人児童・生徒が二万人を突破(〇五年九月時点)したという。文部科学省の基本方針は「受け入れ環境の充実に努めていきたい」だ▼デカセギが多いことで知名の群馬県太田市は、さきごろ日本の学校制度をポ語で解説する「就学ガイドブック」を作製した。ガイドブックづくりは、文科省の指定事業である。特筆されるのはブラジル人児童の保護者も作製に関わったことだ▼ガイドブックにはブラジルの学校にない慣習も紹介されている。「ピアスは(児童に)ふさわしくない。アクセサリー類は学校に持って来る必要はない」「外国人児童にとって、持久走(長距離を長時間かけて走る)をすることで、逞しい心が育つことが実感できる」▼婉曲(えんきょく)に書いているが、要は、子供はピアスを学校でつけるな、持久走をやらせる、ということだ。まさしく郷に入ったら郷に…である。日系ブラジル人の子供たちにとっては、日常の楽しみを断たれる、さらに価値観を変えさせられるようで、つらいことだろう▼移民でブラジルに来た日本人女性は、原色に近いような衣服やピアスには縁がなかった。しかし、郷に入って、その気になった人はブラジル人並みに着用するように変わった。里帰りして、肉親や親戚から欧米風?への変貌をさまざま言われた人の話は多い。ただ、子供でないから〃是正〃は求められなかった▼文科省による指導は、制約があると同時に、サービスもあるのだと受け取りたい。(神)

06/05/19