あの「あすなろ合唱団」が蘇った!=27年ぶりDVDで懐かしい記念写真とコーラスが流れる=「あの人が種まいた、交際の場」=指導者・宗像さんを偲ぶ

2006年6月9日(金)

 あの「あすなろ合唱団」が、DVD「CORAL ASSUNARO」(九十分)でこのほど蘇(よみがえ)った。六〇年代、七〇年代、コロニアで、高い歌唱技術を誇り、ファンも得た知名の合唱団だった。DVDは、合唱団のそのときどきの記念写真と、コーラスの録音でつくられている。DVD製作はまた、合唱団を指導・指揮した宗像基さん(82、牧師、現在東京在住)を偲ぶ「懐かしい再記録」である。
 DVD製作は、合唱団のメンバーだった、遠山堅太郎・静子さん夫妻の発案で始まり、石碕矩之さん、上原伴子さん(在米国)の保存していた録音テープ、および相田芳子さんの所持写真をもとにしてできあがった。収録された写真は約八百枚、流れる曲目はモーツアルトの「戴冠ミサ曲」やヘンデルの「メサイヤ」など大きな曲も含まれているという。遠山さんと相田さんは七日午後「よくあれだけ歌えた」と自賛した。
 宗像さんが来伯したのは一九五七年。日本キリスト教団に属する南米教会に宣教師として赴任したのだった。同教会がサンパウロで伝道を始めたとき、先任の藤井金太郎さんは、青年たちを集め賛美歌を練習していた。あとを継いだ宗像さんは賛美歌だけでなく、世界の歌を歌いましょう、と広く呼びかけた。創設されたのが「あすなろ合唱団」である。たちまち練習する場所が狭くなるほど、団員が増え、転々とした。
 合唱団は、宗像さんが帰国する七九年まで二十二年間続いた。その間、歌った歌の楽譜は、大きな曲を除き、すべて宗像さんが手書き、ガリ版でつくった。その数は何百枚で、数え切れないという。
 相田さんが懐かしんだ。「みんなに歌う喜びを与え、団員は友情を育み、コーラスのお陰で不良化を防げた、とだれかが言った。コーラスのメンバーから何組ものカップルが生まれ、日本や米国に住む旧いメンバーが集まるたびに、昔の歌を歌っています」。練習の場は、即「宗像さんが種を蒔いてくれた、交際の場」だったのである。
 時は流れ、現在、宗像さんの長女ナオミさん(二歳で来伯)は、四十七歳。ブラジルに残り、サンパウロ州交響楽団コーラス部の指揮者をつとめている。あすなろ団員は、二十二年間で出入りはあったが、およそ百人が共に歌った。いま平均年齢が六十歳代の後半くらいだという。
 DVDをほしい人は、相田さんに連絡(電話5054・3913)すれば、入手できる。