コラム 樹海

ニッケイ新聞 2006年7月20日付け

 私費で来伯した後藤博子参議は十八日、デカセギ問題を扱う中心機関である文化教育連帯協会(ISEC)から、当地の実情や意見を聞く会を行なった。取材をしながら、デカセギ問題にこれだけ真剣に考えてくれた国会議員がかつていただろうかと深い感慨を覚えた▼国会が閉会するこの時期になると毎年、日本から議員視察団(公費)が来て日系団体とともに懇談するが、通り一遍の話を聞いて帰っていくという印象が強い。その多くが、当地では理解のあるような発言をしても、日本へ帰ったらナシのつぶてだ▼今回は、後藤参議だけに、熱意をもって取り組む姿勢を感じた。八二年、工業移住者として技術者の夫とともにマナウスへ家族で移住。マナウス日伯文化協会の日本語学校で二、三世に日本語、日本文化を教え、八五年に帰国した経験を持つ▼麻生太郎外相(日伯議連会長)も青年時代に一年間ほど生活経験があり、猪口邦子・内閣府特命担当大臣(少子化・男女共同参画担当)もサンパウロのアメリカン・スクール卒だというが、今のところ具体的な声は聞かない▼参議は三月に〃ブラジルタウン〃の別名を持つ群馬県大泉町を在京ブラジル大使とともに視察するなど独自の活動をしている。特にデカセギ子弟、つまり三世、四世の教育に強い関心を持っている▼かつて上野アントニオ氏や故野村丈吾氏ら懸命にブラジル側から訴えた連邦議員がいた。こおれからはむしろ、日本側から来る時代かもしれない。それに応える意味でも、十月の総選挙では日系社会の団結をみせ、連邦議員を出してほしい。(深)