短冊に願いを込めて=今年もサンパウロ市で七夕祭り=雨にも負けず賑わい見せる

2006年8月2日付け

 今年はまさに〃冬〃の風物詩――。サンパウロ市の恒例行事「サンパウロ仙台七夕祭り」が先月二十九、三十両日、リベルダーデで開かれた。前日までの暑さから一転して気温が下がり、本来の冬らしくなった今年の七夕。初日は風が強く、二日目は小雨交じりとなったが、雨にも負けず、例年以上の人出でにぎわった。二十八回目を迎えた今回は、ガルボン・ブエノ街の大阪橋にも屋台が出るなど新しい試みも。東洋街を彩る七夕飾りの下、通りのそこここで願いを込めた短冊を笹の葉に結びつける人たちの姿が見られた。
 ブラジル宮城県人会主催、リベルダーデ文化福祉協会(ACAL)後援で行われた今年の七夕祭り。県人会婦人部やボランティアの手でつくられた色とりどりの七夕飾り二百余本が、サンパウロ市の冬を彩った。
 初日午後二時半ごろから大阪橋そばのリベルダーデ日本庭園前で、南米神宮による神事が執り行われ祭りの成功を祈願。日系団体、県人会代表者のほか、ロメオ・トゥーマ連邦上議をはじめサンパウロ州議、市議など政治家も多数出席、神前に玉串を捧げ、願いを書いた短冊を庭園内の笹に結びつけた。
 テープカットに続いてリベルダーデ広場の舞台で行われた開会式は、ひまわり太鼓の演奏で幕開け。池崎ACAL会長は、「日本移民九八周年の今年も、私たちの町リベルダーデで伝統の七夕祭りを開催できることを嬉しく思う」と述べるとともに、祭りの関係者や芸能出演者、ボランティア、スポンサー、行政機関など関係者、来場者に謝意を表した。
 来賓あいさつに続き、広場ではレプレーザ文協の阿波踊りに大きな拍手が上がる。その後も花柳金龍会やリベイロン・ピーレス民舞など全部で約六百五十人の踊り手が出演。二日目には武道の演舞や音楽、ラジオショーなども行われた。
 リベルダーデ広場とガルボン・ブエノ街、エスツダンテス街に立てられた竹は約八十本。七夕飾りが風にゆられ、それぞれの笹にはポルトガル語や日本語で願いの書かれた短冊が結びつけられた。
 短冊のほか、ミニ七夕飾りなどがガルボン街の数カ所で販売された。黄(金運)、青(健康)、白(平和)、ピンク(愛情)など、色ごとに願いの種類が異なる短冊を買い求めた来場者は、日系非日系に関わらず、真面目な表情で願い事を書き込んでいた。
 約一万五千枚を販売したという。売り場で〃売れ筋〃を尋ねると「やっぱり黄と青が多いかな」と関係者。
 会場には、今年の竹を扱ったイタペチの税木忠則さん(67)の姿も。初めて七夕祭りを訪れたという。「きれいですね。これだけの祭りをやるには、みなさんの手間がかかっていると思いますよ」と、自身の竹を彩る短冊飾りを前に感想を語った。
 今年は初めて大阪橋の上に屋台を出店、食を扱う屋台など十数軒が並んだ。こちらの売れ筋はやはりヤキソバ。このほかにも、今年四月に開所した援協の自閉症児教育施設や憩の園、こどものそのなど福祉団体も出店した。マンガやアニメに関する屋台もあり、橋の上は行き来する人であふれた。
 橋そばのサンパウロ商業協会も利用され、アリアンサやブラジル日本移民百周年記念協会が出店。墨絵のワークショップや茶道紹介、短歌、俳句、ハイカイの展示なども行われた。
 今年は肌寒い気温の下、初日は風が強く時おり小雨のぱらつく天気。二日目も午後七時の終了前に雨が降り出すなど天候にこそ恵まれなかったが、人出は順調に推移。特に日曜日は東洋市の人出とも重なり、ガルボン街は行き交う人で終日にぎわいを見せた。