◇コラム 樹海

 日系の多くの入植地や公的団体が〃創設五十周年〃を迎えている。戦後、同じ志を持つ人たちがまとまって行動を起こしてから、五十年なのである。もし、記念誌をつくるとしたら、何を活字にして残そうとするだろう。できることならば、入植地や団体の「性格」がはっきりと滲み出た出版物にしたいものである▼ポルトアレグレの南日伯援護協会は、今年、リオ・グランデ・ド・スル州日本移民入植五十周年を記念して、式典、記念碑建立、先没者慰霊法要、敬老演芸会などを繰り広げるが、やはり「記念誌」の編纂も行う。州政府と同援協の〃共催〃事業だという。いま、資料収集中である。資料といっても、重要視しているのは、物ではなく、日系人の「足跡」だ。アンケート調査により知ろうとしている▼州との共催とあって、調査を今後の施策に生かそうという意図がみえる。過去だけの記述でない。まず営農の体験を問う。そして、高齢者にとって住みやすいところかどうか。老後も同じところに住みたいか、など尋ねたりしている。「これから州に何を期待するか」という質問は、州側の興味か。たぶん、他の五十周年記念誌には出てこない項目だ▼ほかの主な質問は「入植当時の状況」「あなたのこれまでの主な出来事」「記録に残しておいたら後世の役に立つであろう情報」「エピソード」など。今後「△△記念誌」をつくろうとする諸団体は、それぞれ特異性が出た記念誌にしたほうがよい、と示唆しているようである。(神)

2006/08/02