藤間流日舞学校45周年=舞踊会で成果を披露

ニッケイ新聞 2006年8月10日付け

 藤間流日本舞踊学校創立四十五周年・師籍六十周年記念ディナー舞踊会が、藤間芳之丞さん、芳嘉さん両会主により、五日、クラブ・オムスで行われた。日本舞踊の舞いが二部構成で披露され、四百人近い観客は、歴史ある伝統芸能に大きな拍手を贈った。
 芳之丞さん(75)は十二歳で名取りし、一九六〇年に来伯。「世界中に藤間流を普及させるつもり」で、翌年サンパウロに学校を創立した。
 会では、春をイメージした花の章で長唄「二人三番叟」「春駒」「獅子と蝶」が、能の形式に基づいた松の章で長唄「君が代松竹梅」「鶴亀」が、藤間流の名取りと生徒によって披露された。二部三作目の長唄「猩猩」は芳之丞さん、芳嘉さんが舞った。
 続く祝辞では、武田幸子在サンパウロ総領事館副領事が、「言葉がわからなくても通じ合うことができる文化は、両国間の交流促進の力になっている」とあいさつ。上原幸啓文協会長、松尾治県連会長、田中信ブラジル日本商工会議所会頭も祝いの言葉を述べた。
 「昔は、日本のものを取り寄せて活動をやっていた」と芳嘉さん。「着物を通しての日本舞踊だから」と、ブラジルの布に手を加え、衣装は全て手作りだったという。
 今では日本文化への興味からブラジル人が舞踊を習うようになり、藤間流の弟子約三百人のうち、三割は非日系人。非日系の名取りも出した。
 「言葉ができなくてもできる。着物を着れる、ということで、日本文化を伝える上で(日本舞踊は)手早い」とその利点を話した。
 芳之丞さんは「四十五年の成果をここに披露できることを喜んでいます。次は、百周年。ぜひ力になりたいと思っています」と、学校創立四十五周年と師籍六十周年の感激を、勢い熱く語った。