コラム 樹海

ニッケイ新聞 2006年8月16日付け

 日本のサッカーは、ブラジルを抜きにしては考えられないのが実状である。日本としては、案外認めたくないのかもしれないが、Jリーグに占める重さがそうだし、現在の日本代表にブラジル出身者が二人いて、いいプレーをしている。去る九日、東京・国立競技場でトリニタード・トバコ戦、2×0で日本が勝った試合でも存在が示された▼二人は、三都主(アレックス・サントス)と闘利王(日系三世、田中マルクス・トゥリオ)。オシム新代表監督が召集した。走れて、最後まで運動量が落ちない、自分の役割をきちんと考えて実践できる、そういう選手が選ばれたのだが、ブラジル出身の二人もその構想内に入った▼闘利王は負けん気も強い。セットプレー以外でも前線に上がり、攻撃に参加する。得点できるDFだ。〇五年は、DFにもかかわらず所属チームの得点王になっている。オシムさんは九十分戦って息
切れした選手を排除してくだろう。身体がサッカーをおぼえている三都主や馬力のある闘利王らが日本代表の主軸になっていきそうだ▼トリニタードとの試合前、例によって、両国のFIFAランキングが紹介されていた。意味がほとんどないのに、まだやっている。ドイツW杯では、日本はランキング下位が相手の場合、勝てると錯覚?していた。ブラジルは一位だったのに8強戦で敗れた。いかに順位づけが意味のないものかわかったし、そういうものに一喜一憂するのはつまらない。要は、勝って力を示すことだ。(神)