コラム 樹海

ニッケイ新聞 2008年6月11日付け

 靖国神社に詣でる人々は1年間に600万人を超える。遺族が中心になるのだろうが、近ごろは若い人も多い。去年の8・15日には20数万人が押し寄せてマスコミも好意的に報道したし、靖国神社に対する国民の心情もこのように暖かいものに違いない。小泉首相が自民総裁選で公約した「終戦記念日に参拝する」を守りモーニングの正装で昇殿し参拝したのは喜ばしい▼首相は参拝批判の報道機関を厳しく咎め、数日前には8月15日を示唆してもいた。中曽根元首相から21年ぶりの「終戦記念日参拝」だそうだが、中国や韓国の一方的な非難を受けての参拝中止は如何なものか。戦争の犠牲となった246万人の英霊を祀る靖国神社は、天皇陛下を始め皇族の方々も自由に参拝できるのが自然なのであり、首相や政治家も素直な気持ちで詣でるのが本来の姿である。▼近ごろは、A級戦犯の合祀がいけないの論もあるし有力政治家が分祀を主張したりもする。靖国神社とは別の追悼施設を国で創設するの異論もあるけれども、こうした中国と韓国よりの意見に耳を傾ける向きは極めて少ないとみていい。中韓の靖国参拝に対する非難にしても、A級戦犯が靖国参拝に対する非難にしても、A戦犯が靖国に合祀された1978年の頃には何もいってはいない。太平首相や鈴木首相(当時)も参拝しているし両首相が中国を訪問しても大歓迎であった▼これが非難に転じたのは85年の中曽根首相の参拝からであり、この矛盾をどう説明しるのか―である。日本の首相はこおれからも堂々と靖国を参拝するのは大いに結構な話ではないか。(遯)