プロミッソンの名誉市民=中川トミさん受証

2006年8月29日付け

 笠戸丸移民唯一の生存者中川トミさん(99、パラナ州ロンドリーナ在住)が、十三日、サンパウロ州プロミッソン市議会から名誉市民証を受けた。式にはジェラルド・C・バルボザ同市市長をはじめ、約二百五十人が集まり受章を祝った。またプロミッソン日伯文化協会会館で行われた受証祝賀会では、トミさんの百歳の誕生日を前倒しして祝った。
 プロミッソン植民地は、トミさんが一九二七年から三四年、四七年から五二年の間に生活をしたところ。同じ熊本県出身の〃日本移民の父〃上塚周平の誘いで入植し、青年期を過ごした。トミさんにとっては、両親との別れや、結婚、出産、子育てをした思い出の地だ。
 授証式では、トミさんの子供五人と家族、市長、市議、ノロエステ線沿線の日本人会会長らが見守る中、アレクサンドロ・A・クンラ同市議会議長が名誉市民証を手渡した。また、バルボーザ市長夫人、クンラ議長夫人がそれぞれ、蘭の花を贈った。
 授証式の間、トミさんは祝辞を述べる来賓らの話を頷くようして、涙を流し聞いていた。サンパウロから参加した熊本県人会の福田康雄会長は「涙するトミさんを見て、こっちまでジーンとしてしまった」と、式での感動を話す。
 昼食を兼ねての祝賀会は、プロッミッソン日伯文化協会(森久昭次会長)とプロミッソン文化体育協会(岡地建宣会長)の共催。地元の歌手がショーで盛り上げ、トミさんは「プロミッソン植民地の歌」のほか、二曲を歌って、その健在振りを披露した。
 祝賀会後には上塚周平の墓参り。「親以上に上塚さんにかわいがってもらった」と話すトミさん。墓前で、上塚周平の腕に抱かれていたこと、日本からのお土産を分けてもらったことなど、同植民地での思い出話は尽きなかった。
 福田会長は「よどみなく話しつづける姿が印象的だった。『二〇〇八年まで頑張って生きるからね』と言ってくれました」とうれしそう。
 午前十時からの式典、祝賀会と夕方まで続く日程にもかかわらず、トミさんは疲れた様子もなく、その日のうちにロンドリーナに戻った。