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◇コラム 樹海

 大韓航空機爆破事件や拉致など北朝鮮のやることは、世の常識を超える。ノドンやテポドンのミサイル発射で国際的な非難を受けても、瀬戸際外交を展開し反省の色はまったくない。そこへ今度は「核実験を実施する」の爆弾声明を発表した。何月何日と具体的な日時は決まっていないようだが、日本などの周辺国にとっては大いなる脅威である▼もし核実験を行えば、核兵器拡散の防止政策が崩壊し、世界は原爆の恐ろしさに右往左往する。金正日総書記は、在平壌のロシア、中国の外交官に地下核実験を行うの考えを語ったとされるし、昨年2月には「核保有」を公式宣言してもいる。こうした背景を見れば、核実験はいつあってもおかしくはない。この緊迫した事態に日本も情報収集を急ぎ、韓国も警戒を強めている。安倍首相も「断許せぬ」と語る▼安保理も緊急協議し警告を発したけれども、北朝鮮がこれに従うとは考え難い。先のミサイル発射のときに安保理は批判決議を採択したし、日本と豪州も金融制裁を発動している。北の「万景峰号」の入港にも厳しい制限を課した。だが―北朝鮮が今のような政策と外交を続ければ、日本も貿易の禁止などを検討するのではないか▼尤も、北朝鮮は「実験はするが、核の先制攻撃や外国への移転もしない」という。しかし―である。地下核実験に踏み切れば、この言葉を信じる国はいないし、これまでにもミサイル技術の輸出に力を入れている。今はただ北朝鮮に自制を求めたい。もう破壊や恫喝的な外交展開で物事の解決をはかるのは通らない。    (遯)

2006/10/05

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