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「万句集」を自家出版=天村さん、40年分を手書き

2006年10月6日付け

 『天村万句集』がこのほど自家出版された。瀬尾天村さん(俳誌『イッペ』主宰、マリリア在住)の旺盛な創作力の結晶ともいうべき大作である。16×21センチ大の四百ページ。一万句が自選され、収録されている。文字は「活字」でなく「(ペン)筆書き」(自筆)である。
 天村さんによれば、昨年七月、〃夢の知らせ〃によって、六五年俳句入門以来満四十年、その記念に「万句集」でも残しては、と思い立った。今年九十三歳。「いよいよ俳句人生も終極面に到っているので、これこそ、最後の置き土産になるでしょう」といっている。
 出版経過については、つぎのとおりだ。万句集を出すにあたり、過去四十年間で一万句つくっているか、どうか不安があった。古い句帳から順を追って書き上げてみた。〇五年七月から日々の仕事の合間を利用して書き次ぎ、〇六年二月に到って、満四十年、一万一千七百六十句となり、第一撰としてまとめることができた。本番で、余分の一千七百六十句を削り、去る八月二十日、一万句を書き上げることができたという。
 [瀬尾天村さん略歴]
 一三年鳥取県米子市生まれ、三一年県立米子中学校卒、三三年渡航、三四年セッテバラス植民地キロンボ区入植、三五年同区日本語学校教師就任、三六年結婚、桂植民地日本語学校へ転職、三九年パウリスタ線ポンペイア駅トリウンフォ植民地日本語学校へ転職、四一年日本語学校閉鎖、同植民地で借地綿作農、四三年同植民地で独立、四九年マリリア近郊のシャカラに移転、六五年俳句「緑光」遠山颯子へ入門、七七年イッペ吟社創立、会員四十人、『イッペ』誌(月刊)編集、八六年自叙伝「二万日々誌―移民のたわごと―三百冊刊行、九七年イッペ吟社二十周年、合同句集「ひこばえ」刊行。
 [受賞]八六年第二十四回東京出版全国俳句大会第一位、八九年第十二回東日本全国俳句大会第一位、九二年第七回日本国民文化祭いしかわ92俳句部門石川知事賞受賞など多数。

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