子孫が誇れる祭りを=コクエラ=にぎわったふるさと祭り=「農業は進歩の基本」テーマに=二日で2万5千人来場

2006年11月14日付け

 コクエラ日本人会(コクエラ農村協会、渋谷仁会長)主催の「第十六回ふるさと祭り」が十一、十二の両日、モジ市コクエラ区にある同会館敷地内で十一、十二日の両日開催された。会場には二日間で地元、近郊から二万五千人以上(主催者発表)が来場。農産展も兼ねた同祭りは両日、終日大賑わいを見せていた。
 モジ・ダス・クルーゼス市最古の日本人入植地の一つ、コクエラ植民地。ふるさと祭りの前身である「桃祭り」は二十回にわたって続いてきたが、桃以外の生産物の方が多くなったことを理由に「ふるさと祭り」へ名前を変更。一九九一年からは「コクエラを出た人が帰ってくるような祭り」という願いを込め「ふるさと祭り」として開催されている。
 十六回目となった今年のテーマは、「農業は進歩の基本~Agricultura,Esteio do Progresso~」。「社会の発展は農業のおかげである」といった思いが込められていると渋谷会長はいう。
 故間部学氏が手掛けた〃彫刻庭園〃(会館前庭)で行われた開催式には、沖田豊穂在サンパウロ日本国総領事館領事ほか、モジ市の安部順二市長、市議、中山喜代治モジ文協会長らが出席、挨拶をした。
 モジ市出身の安部市長は、「自分も農家で育ってきた身。涙が出る時代もあった」と昔を振り返る。また「政府の融資などの問題を改善すれば、(農業が)もっと成長すると思う。技術向上に向けて援助してゆきたい」と式典後今後の目標を話していた。
 会場に足を運んだ人の多くはまず、野菜や果物、花卉など農産物の展示場へ向かい、その後即売展へ。
 婦人会が用意したやきそばやうどん、巻き寿司などの日本食ブースも好評。洋服・雑貨類などの屋台ほか、農業器具の展示・即売する約九十店のどこも終日大盛況だった。
 特設ステージでは、ビリチバ・ミリンのYOSAKOIソーランやカラオケ、ビンゴ、「寿松の会」の傘踊り、福島県人会の太鼓、盆踊りも披露された。十一日の夜は花火も打ち上げられ、祭りに華を添えていた。
 桃祭りから通算すると三十六年間も続く同祭りは、農業技術の交流・村民の娯楽・村の名物作り・物産即売からなっている。
 八五から八七年、八九年と九二年に会長を務めた猪狩甲一さんは、「時代は移り変わるもの」と話し、その表情は今回の祭りにも満足した様子だった。
 同主催者関係者らは、「今後も新味を加えながら同地の子孫が誇れる祭りを作っていきたい」と話していた。