軌道修正始まった百周年=百周年協会定例理事会=年初から寄付受付け開始=「箱モノは置いとく」

2006年11月14日付け

 「ようやく来年の初めから寄付キャンペーンを本格的に開始するめどがたちました」。十一日午前、ブラジル日本移民百周年記念協会(上原幸啓理事長)の理事会(二カ月に一度)が同事務局で行われ、松尾治執行委員長はそう報告した。出席した副理事長は十団体あまりと低調だったが、協会の軌道修正や財務方針についてなどの重要な事項が話し合われた。
 執行委員長就任後、最初の定例理事会となった今回、松尾氏は「箱モノは置いといて、まずは式典や行事に力を集中する」との基本方針を打ち出した。
 この軌道修正案に関して「よく分からない」「夢は大きく」「日本からお金が出なくてもこちらで建てればいい」などの根強い箱モノ支持の意見も出たが、最終的に承認された。
 箱モノ四事業は主催事業として継続するが、式典や他の重要事業を優先することで合意された。具体的には、従来からあった三大事業「式典」「移民の記録」「人的交流」に加え、松尾執行委員長は「地方との情報交換を密にして協力しあう」ことをあげ、四大方針にする考えを説明。
 緊急案件である資金集めに関して、財務委員会の進行状況も報告された。
 まずは五グループを早急に組織し、それぞれが担当する分野に関して呼びかけをしていく。1)ブラジル企業、2)日本進出企業、3)地方も含めた各種日系団体や日系宗教団体および個人からの大口寄付、4)日本のブラジル人企業やデカセギ一般、5)コロニアの一般個人。
 中矢健二レナート財務委員長はニッケイ新聞の取材に対し、「十レアルの寄付でもきちんと名前を残していく。個人の浄財は、金額の多寡を問わず大事なもの。会計監査会社に入ってもらい、透明な口座管理をしていくつもりです」と説明した。
 将来的に開設される百周年協会のホームページには、奉加帳をもうけ、寄付者の氏名を可能な限り公にしていく方針だ。
 すでに南米産業開発青年隊協会(牧晃一郎会長)も九月の創立五十周年式典の折り、五千レアルの寄付をした。中矢委員長は「すでに寄付の約束をしてくれている人もいます」と明らかにする。
 企業などからの寄付を免税で受けとれる口座を開設するための名義団体、インステチトゥット・ブラジル・ジャポン・クルトゥラル・ソシアル(仮称=日伯文化社会協会)を立ち上げるべく、現在定款を作成中との報告もあった。
 OSCIP(公益民間組織=日本のNPO)として連邦政府に登録し、この団体宛てに寄付を受けることにより、所得税などを引かれずに記念協会が全額受け取れるようにする。とりあえず五団体が会員となる形で組織する。
 松尾執行委員長は「このOSCIPの登録は、順調にいけば今年末には終わる見通し。来年はじめからは実際に、みなさまにご協力いただけるようになります」という。「その時は、まずは理事会のみなさんから率先してご協力をお願いします」と呼びかけた。
 そのほか、執行委員長は組織再編にもふれ、九つある委員会の代表の一部を入れかえる案を説明し、承認された。カッコは委員長名で、矢印は代表が交代した委員会。
 1)財務委員会(中矢健二レナート)、2)法務委員会(大原毅)、3)祭典委員会(田中洋典)、4)イベント委員会(青木智栄子→小林ヴィットル、秀島マルセロ)、5)文化委員会(平野セイジ→吉岡黎明)、6)スポーツ委員会(佐々木ヴァウテル)、7)広報委員会(松田セルソ→遠山景孝)、8)政府関係委員会(山中イジドロ、横田パウロ)。
 戦後移民らが中心となった団体代表とも、すでに二回会合を重ねて協力依頼をすすめている松尾執行委員長は「もっと一世の参加が必要だと思う。積極的に名乗りをあげてほしい」と繰り返した。
 そのほか、サンパウロ市役所側が〇八年の式典・祭典に使うサンバ会場を無償で貸与する件は口頭では承諾をもらっているが、それを書面にして十六日までに受け取れる見通しであることも、田中祭典委員長から報告された。
 ノロエステ連合日伯文化協会(白石一資会長)の代理として佐道善郎氏が出席し、アラサツーバ文化センター構想について質疑があり、実現可能性を検討する委員会を作ることが承認された。また皇室が同地に立ち寄られるのかどうかも質問があがり、上原理事長は「天皇陛下がこられるかどうかは宮内庁が六カ月前に発表するまで分からない」と回答した。
 次回の定例理事会は来年一月十三日に開かれる。