コラム 樹海

2006年12月22日付け

 成人した孫がいる女性の話である。「世代が下がるにつれて、テレビ(受像機)が大きくなる」。自分のより同居していない息子のテレビの画面が大きい、息子のマンションにある孫の部屋にあるのは、息子のよりさらにひと回り大きい、というのだ。息子が親よりも高収入になっている家なので、語っている様子は明るいし、さばさばしている▼高齢者なら画面が大きければ、字幕も大きく、観るのが楽だろうから、息子に買い替えてもらえばいいのに、「わたしはこれでいい」と言う。遠慮なのかもしれない▼さて、ブラジルでは来年から、日本方式による地上デジタル放送システムに切り替えられていく。画像が鮮明なほか、さまざまな利点が挙げられている▼街のテレビ販売店では、まるで自分がメーカーのように「来年(デジタル放送に対処した)新しい製品が店頭に並ぶ」と説明する。方式が変われば、今使用しているアナログ・テレビそのままでは観ることができない。アナログは値下げ傾向のようだ▼しかし、すべての人がさっとテレビを買い替えられるわけがない。よくしたもので、実際には買い替えなくてもいいという。使用中のテレビにチューナー(電波同調装置)を付ければ、デジタル放送が観られる。この装置、値段がいくらになるのか▼ともあれ、息子より小さいテレビを観ている女性には、チューナーを内蔵した新しいテレビが街に出たら、孫並みの大画面のを買ってくれ、と息子に掛け合うようすすめたい。(神)