踊った!踊った!踊った!=藤間流=今年も踊り初め艶やかに

2007年1月10日付け

 藤間流日本舞踊学校(藤間芳之丞、芳嘉会主)主催の第四十六回「新春日本舞踊踊り初めの会」が七日、文協ビル大講堂で行なわれた。普通科の若手からベテランの名取・師匠まで約三十五人がステージ上で優雅な舞を披露。会場を訪れた七百人以上の観客は、踊り手たちの熱演をじっと見つめていた。
 六時間にわたった新春踊り初めの会。藤瀬圭子さん(日本語)、江口桂さん(ポ語)の進行で始まった同会は、午後一時、藤間芳翁、芳苑名取による「新春の舞」で幕開け。その後、第一部・普通科生徒二十一人が「人形」「雪大文字」「百年音頭」「四季舞扇」「寿」「お吉傘」「羽根の禿」「舞麿恋女」「雨の五郎」「華の舞」「新六段くずし」「汐汲」「面売り」。第二部・専攻科三人はそれぞれ、長唄の「竹の四季」「夢」「京の四季」を披露した。
 第三部「祝賀の色彩り」では、藤間芳寿社中と藤間芳恵社中が協力出演し、名取が長唄や常盤津を披露。藤間芳之丞会主が「松の翁」で堂々と取りを飾って会場を盛り上げた。
 名取たちが舞台に上ると、「待ってました」とばかりに観客は舞台に釘づけになっていた。観客を魅了する踊りのメインの箇所では、「うわぁ」と拍手喝采。中には身を乗り出して踊りに集中する人もいるほど。
 フィナーレは「踊る!踊る!!踊る!!!」と題して、現在流行っている曲に日本舞踊を加えた作品を出演者総出演で踊った。
 現在では、四歳位から八十五歳まで数多くの門下生を抱える藤間流日本舞踊学校。昨年は四十五周年を迎え、念願のディナー舞踏会を行った。
 藤間芳之丞会主は、「これも、舞台裏または有志、さまざまの方々の応援のおかげです」と観客の来場に対し感謝の意を示し、「今後も一層羽ばたいてゆきたい」と挨拶。
 芳嘉会主は、パラナ、ブラジリア、リオ・グランデ・ド・スールから会場に駆けつけた人たちにも感謝し、「これからも温かいご声援をよろしくお願いいたします」と話した。
 二人は、これからも新春日本舞踊踊り初めの会を続けていく意気込みを語り六時間の舞台を締めくくった。
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 舞台後の楽屋。「絶対に踊れないと思っていた」と話すのは藤間芳豊名取。今年八十四歳を迎える芳豊さんは、リュウマチになりながらも長唄「春の寿」を踊りきった。
 「今年は辞めるつもりだったが、やれるだけやろうと思ってやった」。無事踊り終えることができて「本当によかった」と感想を話していた。
 「お師匠さんが厳しいだけあって踊りはさすが」と話すのは、当日司会を務めた藤瀬圭子さん。同会の十回目の開催から司会を務めてきた藤瀬さんは、今年で三十六年目の仕切りとなった。「舞台は毎回素晴らしい」と絶賛。
 サンパウロ市在住の松本登志子さん(63)は、「長かったけど素晴らしかった」と感想を話し、「特に、非日系人が上手に踊っているのには驚いた」と感心した様子だった。