裏千家センター初釜=和敬静寂〃理解〃につとめる

2007年1月16日付け

 茶道裏千家ブラジルセンター(林宗慶代表)は、十四日、ルネッサンスホテルで初釜を開催した。約二百人が参会し、特設された茶の間でのお手前が始まると、会場内の参加者は神妙な面持ちで作法を見つめていた。林代表は「多くの日系人の子弟のおかげで、この百年の間に、茶の湯をブラジルに紹介することができた」と、茶道が普及してきたことを喜んだ。
 「自分が一番いいと思えるものを誰かに捧げなさいというのが、宗慶先生の教え」と、コーディネーターとして初釜の会場の選定に携わったメグミ・ペレスさん。茶道でいわれる「一期一会」を考慮して、これまで一度も使っていない会場を探したという。茶の間の正面には「一」と記された掛け軸がかけられ、新年の始まりを飾っていた。
 初釜には、丸橋首席領事夫妻、上原幸啓文協会長、松尾治県連会長、酒井清一援協会長らが出席。茶菓子には、京都から取り寄せられた干菓子と、ひとつずつ手作りされた、正月ならではの花びら餅が振舞われ、それぞれが茶の点前に親しんだ。
 お手前の後には、会場を移して新年祝賀会。丸橋首席領事は茶道を「伝統的な芸術である」とあいさつし、「和敬静寂」の心を紹介。精神面が重要となる茶道は「〃知る〃のではなく〃理解〃することだ」と話した。
 洋食のコースが振舞われるなか、賞品の抽選会やダンスのショー行われて、会場を賑わせていた。
 宗慶代表は今年の抱負として、「お茶を習う人が増えてほしい」。非日系の生徒が増加する一方で、「一生修行」という日本的概念がないためか、なかなか続かないのが現状だという。「千人いたこともあった」という生徒数は現在、国内に約二百五十人。教授できるものが約三十人ほど。
 だが「まずは、興味のある人に来てもらうこと」と笑顔で、茶道の普及への意気込みを示していた。