コラム 樹海

2007年1月16日付け

 台湾新幹線がやっと開通した。北端の台北と南にある高雄の345キロを結ぶ高速鉄道である。在来線では4時間もかかっていたのが、新幹線だと最速で81分。片道運賃も五千三百円と日本の半額と安い。台湾は九州を少し小さくした国だが、この新幹線の完成で南北の往来は容易になり、高雄に暮らしながら台北へ出勤も可能になったのが大きい▼東京と大阪の新幹線が完成したのは1964年だが、その高い技術力は誇っていい。この鉄道技術が初めて輸出されたのが台湾なのであり、その意義はを評価したい。この技術輸入には李登輝前総統が尽力し、仏独の欧州勢から日本が逆転受注したのは余りにも有名だし、この複雑さに加え工事の遅れもあって開通が1年以上も延期された。正式な式典は2月にも行いたいとしているがまだ決まっていない▼高速鉄道なので路線も広軌にし総工費は1兆六千億円。台湾の経済は好調でなのだが、この資金調達にはかなりの苦心があるし、負担も重かったに違いない。そうした苦労を乗り越えての新幹線であり、台湾の喜びは一際だろう。東海道新幹線が日本の経済発展に尽くした功績は今も語られるけれども、台湾でもきっと同じような効果をもたらし、観光に及ぼす影響も甚大だ▼台湾高速鉄道に使われるのは日本の「700系のぞみ」系統の十二両編成で989人を運送する。勿論、安全性の課題など日本の技術者が懸念するところも少なくはない。これは台湾の当局にお願いするしかないが、日本から生まれた―この新幹線の輸出がインドや東南アジアにも繋がると信じたいのだけれども―。   (遯)