「バガス」からプラスチック製造=沖縄とPE州=技術協力話し合い

2007年1月24日付け

 ペルナンブッコ州グラヴァター市の招待で、国際交流とサトウキビ(カンナ)の生産事情の視察を目的に来伯していた琉球大学工学部の波平宜敬教授と柴田信一助教授が二十二日、来社した。
 今月十五日から滞在した両氏は、技術協力を結ぶサンパウロ大学を訪問したあと、ペルナンブッコ州の各国立大学を視察。同州のサトウキビ畑や加工工場を訪れ、「スケールの大きい生産現場に驚いた」と感想を語った。
 琉球大学ではサトウキビの搾りかす「バガス」からつくられ、土に還る天然プラスチックの生産技術を研究している。観光業が中心のグラヴァター市でも、「バガス」産業は将来的な主要産業になると見込んでいることから、昨年末、両者の間で技術協力が結ばれた。
 柴田助教授によれば、日本では天然資源をつかった加工生産は一九七〇年代からはじまった。八〇年代からは医療用に加工されていたが、石油燃料に比べて加工コストがかかるため「商業ベースにのることはなかった」。
 しかしここ十年くらいから、環境問題が注目されはじめたことに加えて、石油燃料の高騰が追い風となり、天然資源の製品の有用性が高まってきているという。
 そうした点から、サトウキビの一大生産国であるブラジルでの天然プラスチックの製造は「日本以上に大きな可能性を秘めている」と両氏は指摘した。
 昨年十二月には、同市のジョアキン・シルバ市長が波平教授らとともに沖縄県庁をおとずれ、技術協力の打ち合わせをおこなった。
 波平教授は今回の滞在を振り返り、「ブラジルのスケールの大きさに驚いた。サトウキビ生産とバイオエタノール産業で先進国であるブラジルに、琉球大の技術が移転できれば、お互いに大きな貢献ができると思う」と述べ、今回の視察に手応えを感じた様子だった。
 両氏は二十三日夜、日本に帰国した。