「もち米も搗けば一つに」=神奈川県人会=新会館盛大にお披露目=県人会長ら150人が祝う=次は〝神奈川村構想〟へ

2007年1月25日付け

 「もち米は一粒一粒はバラバラでも、搗けば丸い一つの餅になる」。開館記念の餅つきの合いの手をつとめながら、〃お家騒動〃を落着させた多忙な日々を振り返り、村田洋会長はしみじみと語った。神奈川県人会の新会館お披露目式が二十一日午前、サンパウロ市ヴィラ・マリアーナ区で行われ、来賓や会員ら約百五十人が駆けつけ、盛大に祝われた。
 「思えば、〇五年、〇六年はまことに茨(いばら)のトンネルを行くような、困難な時期でした」。前会長が勝手に市価の半値で会館売却契約を結んでしまった暴挙をしきり直し、ようやく開館にこぎ着けた日々を振り返り、村田会長は晴れ晴れしい顔であいさつした。「今日は新生県人会の出発です」。
 〇五年九月の創立四十周年式典は騒動の直後になってしまい、来賓もなく内輪で終わった。「五十周年に向けて、神奈川農場を〃神奈川村〃にする構想を進めたい」とさっそく次の目標を発表した。
 この神奈川村構想は、広い農場の敷地を活かし、定年退職者を誘致した別荘地を作り、自然相手の庭造りや畑仕事などを楽しみながら余生を過ごしてもらう計画だ。「これから検討を進めます」。
 四百五十平米ある新会館は現在改修中で、将来的には学生寮を二階部分に作る。ヴィラ・マダレーナ区にあった前会館では広い駐車場があったためにそこからの収入があった。新会館では、学生寮の運営によって経費を捻出したいと考えている。その他、日本料理研修会、折り紙教室、囲碁将棋教室も順次開設していく予定だ。
 当日は、母県の尾高暉重副知事からも「このたびのご慶事、まことにおめでとうございます」という祝辞や、杉山信雄県議会議員からのお祝いの言葉も披露された。
 松尾治県連会長も、昨年末に神奈川県人会が県連に復帰したことを讃え、「これで〇七年は良いスタートが切れた」と喜んだ。続いて文協の関根隆範副会長、援協の酒井清一会長も「立派な会館だ。神奈川県人会はいいネゴシオ(交渉)をした」と誉めあげた。
 記念の餅つきでは、村田会長が合いの手をつとめ、来賓に順繰りに餅を搗いてもらった。塩田憲一さんは現役員の健闘をたたえ、「神奈川県人会は永遠に不滅です」との思いを訴え、乾杯の音頭を仕切った。
 多くの県人会長や代表者らが顔を見せ、一行は賑やかに歓談しながら昼食を共にした。二世会員の柏木ファビオさん(30)は「素晴らしい建物。どうやってここを運営し続けられるか工夫したい」と気を引き締めた表情を浮かべた後、「徳川三百五十年みたいにね」と笑った。
 初めて県人会にきたという新会員の佐藤好子さん(83、横須賀市出身)は「招待されて幸せです」と感激した様子。
 新会館の購入交渉で活躍した高村ジュン第一副会長や白又孝範第二副会長ほか役員らは、式典当日の進行でも会長を支えていた。
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 同県人会の正式名称は神奈川文化援護協会。新会館住所はRua Major Nilton Feliciano,75で、メトロ新駅イミグランテから徒歩五分。電話は11・5082・3141。