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コラム 樹海

2007年2月20日付け

 先の2月7日は「北方領土の日」で阿倍晋三首相も集会に出席し早期返還を求める決意を表明した。これは日本の首相としては当然のことであり、旧ソ連によって強奪された歯舞・色丹・国後・択捉は日本固有の領土なのである。安政元年12月21日(新暦に直すと1852年2月7日)に結ばれた日露和親条約によって、北方領土は日本の領土と明記されている▼ところが―である。麻生太郎外相が、昨年の暮れごろから「北方領土の面積を折半して日露で領有する」と誤解されそうな奇妙な主張を展開している。いや、国会でも同じような答弁をしているし、これを支持する勢力もあるらしい。どこから―このような論理が生まれたのは不明ながら、これでは歴代の内閣が苦心して闘ってきた甲斐がない。勿論、安倍内閣は、4島返還が国の決定であり、面積の折半論は否定する▼確かにプーチン大統領は手強い。とても一筋縄ではいかないし、グリズロフ下院議長に到っては「日本が北方領土を失ったのは近隣諸国侵略に対する処罰だ」とまで語っている。もはやエリツィン前大統領と橋本元首相の会談に見る友好的な雰囲気はなく、今のロシアは強硬一点張りなのである▼この厳しい情勢を打開するのが「分断論」の狙いかもしれないが、4島返還の本筋から余りにも離れすぎている。ここは原点にもどるべきであって、しぶとく交渉するしかあるまい。ロシアとは60万人の抑留者問題があり、あの厳寒のシベリアで6万人余が死亡してもいる。サンバで踊り狂うのもいいが、週末の休みには、こんな日露の話を考えるのもいい。   (遯)

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