カーニバルツアー、「マンゲイラ」に参加=情熱、歴史、創造力、パワー=パレードして実体験=日系人25人ほとんど初めて=「食わず嫌いはもったいない」と企画

2007年3月1日付け

 「カーニバルはブラジルが自慢できるポイント。観客じゃわからない感動を体験してもらいたい」。高校時代からサンバのリズムに惹かれていたという細川多美子さん(『ブンバ!』編集長)は毎年、知り合いの移住者や駐在員を集めて「マンゲイラに出ようよ」と気軽なツアーを計画している。今年も去る二月十七日から二十日にかけての四日間、日本から三人の参加者を加えて十二回目のサンバツアーが行われた。
 見るだけでなく、パレードに参加することが目的の同企画。「この小さなボタンもスパンコールも全部、手作りなのよ」。多美子さんは、色とりどりの上着や靴、羽で飾られた大きな帽子など、カーニバルの衣装を取り出して説明する。
 「(山車など)あれだけのものを作るパワーは並みのものじゃない。その一瞬のために一年をかけてる。参加することで少しでも関わっている人の情熱や歴史、創造力やパワーを感じてもらいたい」。これが企画の趣意だ。
 ツアー一行は、リオのエスコーラ・デ・サンバ「マンゲイラ」のファンタジスタとしてカーニバルに出場した。集まった二十五人は多くが、カーニバルを生で見るのも初めてだった。「カーニバルではブラジルの最高の場面を知ることができる。〃サンバをイメージできない人たち〃ともそれを分けたい」と多美子さんは意気込んだ。
 衣装が重い上に、暑い――。大きな山車と、様々な衣装をまとった数千人の出場者でごった返しているサンボードロモ。参加者一行は両手一杯に衣装を抱えながら、順番を待った。
 出場時間は約三十分。「遊んでいるけど、一生懸命。極めて真面目に参加してください」。〃歌えない、踊れない〃と、日本人の参加を嫌うエスコーラもあり、これはエスコーラ側に言い分だ。
 「一生の経験になった」と、パレードを終えて、橘俊也さん(27)。出場直後はグッタリと疲れきっていた参加者たちは、「観客と目が合うから、踊らなくちゃってがんばった」「誰かが先に倒れてくれたら(自分も倒れられる)と思った」とそれぞれの感想を笑顔で語った。
 少ないときで五、六人、これまで百人以上がパレードに参加した。中嶋健次さんは「初めてでした。よかったです」。山口達朗さんは今回の経験に加え、「サンパウロではバテリアで出たい」と、すでに来年の予定を計画していた。
 「カーニバルが嫌いな人もいるけど、もったいないなと思う。日本にはないもので、日本の思考では理解しにくいところを、味わってほしい」と多美子さん。
 毎年のツアーには、「ブラジル人が毎年、毎年やっていることを自分はどれだけ続けられるか」と、サンバに対する自身の挑戦の意も込められている。