08年を機に緊密化を=日伯経済合同会議=資源と環境の補完関係に=2大臣出席し盛り上がる=高まる経済連携への期待

2007年3月7日付け

 「来年の日伯交流年(移民百周年)を契機に」とのセリフが、六日にサンパウロ市内ホテルで行われた第十二回日本ブラジル経済合同会議では、合い言葉のようにスピーチする要人から次々に語られた。特にブラジル側からはルイス・フェルナンド・フルラン開発商工大臣、ルイス・カルロス・ゲデス・ピント農務大臣が出席。日本側を合わせて約五百人が参加し、エタノールやデジタルTVなど盛り上がる経済関係を反映した熱気あふれる会合となった。
 午前九時からの開会式でパウロ・アントニオ・スカッフィCNI第一副会長(サンパウロ州工業連盟会長)は「笠戸丸以来、日伯は特別な絆で結ばれている」と強調し、来年を契機に経済を中心とした新しい補完関係構築に向けて取り組む姿勢をしめした。
 日本ブラジル経済委員長の槍田松瑩氏(三井物産社長)は、日本がアジアを手始めに〇五年にはメキシコ、昨年にはチリとFTA結んできた例を出し、日伯交流年を機により広範な関係を築けるように実のある議論を呼びかけた。
 アンドレ・アマード駐日ブラジル国大使は「百周年は両国の新しい転換点である」と位置づけ、「歴史的な瞬間を逃してはならない」と語った。

「いよいよブラジルの番」

 続いて、島内憲在ブラジル日本国大使はアジアに偏りがちだった日本企業のスタンスを振り返り、「いよいよブラジルの番です」と語気を強めた。来年に向けて企画されているイベントにより、「新たなブラジルブームが日本に巻き起こることを期待しています」とのべた。
 ピント農務大臣は「日本移民はブラジルの農業に技術や組織など大きな影響をもたらした。この貢献は顕著である」と顕彰し、フルラン開発大臣も「各社、〇八年に参加してほしい」と呼びかけ、今後の二国間に対して「ブラジルは大変な潜在能力を保有している。近代的な部分で新しい補完関係が結べるはず」と資源以外への展開に強い期待感を表明した。
 パネルディスカッションでフルラン開発大臣は、まず日伯二国間で何らかの通商提携を結び、それをベースにメルコスール全体の日本との関係を活性化する考え方を示すなどの柔軟性を示した。
 従来は、ブラジル単独で日本と経済協定を結ぶことは、メルコスールの盟主たる立場からすると微妙な点があると思われてきたが、むしろ、その通商協定を武器にしてブラジルで生産してメルコスール全体に商品を売ることを熱心に薦めた。
 同相は近日中にドイツ首相やブッシュ大統領が来伯し、エタノールの交渉をするとの予定を紹介し、「今ここで行動を始めてほしい」と呼びかけた。八日に予定されているルーラ大統領との会合で、この会議の報告をすると語った。
 そのほか、バイオエネルギー、インフラ整備、農業関連、対ブラジル投資の成功例と課題について発表、「両国経済関係の拡大と深化、経済提携協定の役割」が議論された。
 日伯経済合同会議は二年に一度、相互の国で開催されており、主催は日本経団連(御手洗冨士夫会長)とブラジル工業連盟(CNI=アルマンド・モンテイロ・ネット会長)。ブラジル日本商工会議所によれば、日本企業側の約九十人(うち来伯者は三十六人)を含め、ブラジル企業代表者ら約五百人が会場を埋めた。