伯メディア=百周年に企画続々(下)=アブリウ社=『ベージャ』で特集か=求められる地道な広報

2007年3月13日付け

 ブラジル最大手出版社アブリウ社は、今年六月から来年七月まで十四カ月間にわたり、百周年専門サイトを立ち上げるほか、同社の持つ雑誌など十六媒体で、日本や百年祭について複合的に扱う。企画書によれば、延べ数で千二百五十万人に影響力を持つ、としている。
 週刊誌としてはブラジル最大の発行部、数百十一万部を誇る『ベージャ』では「笠戸丸から百年後における、日本移民がブラジル社会にもたらしたインパクト」特集、『ベージャ・サンパウロ』(約三十五万部)では「日本以外で最大の日系集住都市における日本移民のもたらした影響」を三回連載、『エザメ』(約十六万部)では「巨額投資と日伯経済関係の好機」、『クラウジア』(約三十七万部)では「有名無名人による、ブラジルにおける教育や食に関する変遷を語ってもらう」。
 さらに『カプリッショ』(約十一万部)では「ファッションにおける日伯の相互影響」、『スーペルインテレサンチ』(約三十四万部)は「科学、週刊、文化。ブラジル人の間ではどの点で一番日本を語るか」、『イストリア』(約五万部)では日本移民とその子孫に六章をさく。
 『クアトロ・ローダス』(約十五万部)はブラジルで成功する日本四輪メーカー特集、『プラカール』(約四万部)では「ブラジル人選手の活躍で成功する日本サッカー界と増加するブラジル人選手たち」、『ナショナル・ジオグラフィック・ブラジル』(約五万部)は「ブラジルの知られざるニッポン、パラー州トメ・アスー」、『ビッピ』(約七万部)は「誰が新しい日伯美の代表か」、『ビアージェン』(約七万部)は「ブラジル北から南までの様々なニッポンの断片」、『ブラーボ!』は「日本文化とブラジルとの関係」、『コンチーゴ!』は「芸術家が語る日本的資質とは」など。
 これら雑誌の記事の再録に加え、新しい記事を加えた特別号を来年、五万部(予定)で発行する。また『エザメ』誌主催による経済シンポジウムも企画。来年六月には全誌で特集が組まれるなど、総力を挙げた取り組みとなりそうだ。
 同社が制作する専門サイトでは、各雑誌の特集を集めて公開するほか、移民史料館の協力を得て写真や証言などを掲載していくという。
 原総務補佐によれば、百周年協会はすでにアブリウ社の企画を承認している。
 実現すれば、新聞、テレビ、雑誌、インターナットなどあらゆるポ語メディアに百年祭のことがあふれることになりそうだ。
 ただし、グローボやアブリウ社の企画は商業ベースの話であり、スポンサーが集まらないと机上の空論に終わる恐れがある。
 一方、TVクルツーラは州政府系機関で商業ベースでなく、またドキュメンタリー制作には定評がある。さらに〇五年頃から毎年六月に日本移民特集別冊を出してきた実績のあるエスタード紙は、百周年まで続けることを宣言している。
 同協会の遠山景孝広報委員長は、有名ジャーナリスト有志が「歴史に残る日系百人の証言集」などの独自企画を提出している件を紹介し、「商業ベース以外のこのような動きも重要」と釘を刺した。
 あくまでも提案は提案。資金力のない同協会がいかに効率的に広報できるか──地に足付いた地道な広報活動も同時に必要なようだ。     (おわり)

伯メディア 百周年に企画続々(上)=グローボ、アブリウ、クルツーラ=実現すれば百年祭一色に=スポンサーはこれから