コロニアの財産を将来に=文協=日本館を大型改修へ=6月から資金調達開始=「百周年機に始めたい」

2007年3月15日付け

 日伯友好のシンボルを将来に――。建設から半世紀を超え、老朽化が進む日本館のお化粧なおしがようやく始まる。近日中には、日本政府による「草の根文化無償金協力」による展示設備の改装、照明器具の設置、入り口などの整備が開始され、五月に催される「子供祭り」にはお披露目される予定だ。さらに、昨年、サンパウロ州・市から日本館周辺の改修許可が出たことを受け、再生事業「日本館復元活性化及び造園基本計画」がようやくスタートする。日本館運営委員会の大田レオ委員長は、「今年の六月には計画を発表、資金協力者の募集を開始し、百周年を機に事業を始めたい」と話している。
 サンパウロ市制四百周年を記念し、日本側とコロニアが一致協力、一九五四年に建設され、サンパウロ市に寄贈された日本館。戦後混乱を極めた日系社会を大同団結さるきっかけとなり、四百年祭協力委員会は発展的解消を遂げ、現在の文協の設立へと繋がっていく。
 コロニア、日本、ブラジルが三位一体となった日伯友好のシンボルともいえる日本館が建設から半世紀を超え、ようやく百周年を機に改修事業が行われることとなった。
 すでに昨年末、「草の根文化無償資金協力」で約七万六千ドルが供与されており、展示スペースを中心とした整備工事は近日中に始められる予定。JICAからも監視カメラ設置のため、約二万三千レアルの助成金が下り、図らずも日本側から口火を切った形だ。
 日本館運営委員会の大田レオ委員長は、「ブラジル企業からの積極的な協力が期待できる」と日本政府の援助が呼び水になると見る。今年の移民の日には、事業計画を発表するとともに、ルアネー法などを活用し、資金協力者の呼びかけも行っていくという。
 州(九月)、市(十一月)から、工事許可が下りたことを受け、計画の叩き台である「日本館復元活性化及び造園基本計画」をさらに具体化させ、新たな設計図を作成する予定だ。
 同計画では、1)より市民の目に触れるように、近接する「開拓先没者慰霊碑」と日本館を取り囲んでいる鉄柵を低くする、2)排水機能を施した円形の石畳を慰霊碑と日本館入り口に設置する、3)日伯のイメージを取り込んだ庭園造りなどが挙げられている。
 羽藤ジョージ市議らの働きかけにより、管理費として十三万レアルが市から同計画に捻出されており、この予算のなかから、慰霊碑、日本館の間にあるアスファルト舗装道路除去作業も早々に行われるという。
 大田委員長は、事業の重要性を市も理解していると説明、「もっと宣伝する必要もあるが、市民に目につく形にしていきたい」と力説、林立するユーカリの木を除去する可能性を示唆する。
 イビラプエラ公園は州と市の重要文化財に指定されているため、州、市と綿密な関係を保ちながら、計画を進めていく必要を強調する。
 「コロニアのシンボルを次世代につなげることは、大きな挑戦」と表情を引き締める大田委員長。慰霊碑の管理団体である県連との連携にも気を配りつつ、計画を実行に移していきたいとやる気を見せている。