熱気帯びる評議員選挙=文協=3勢力が凌ぎ削る=2派相次ぎ決起集会=沈黙守る小川氏

2007年3月21日付け

 三つ巴の戦いとなるか――。文協分け目の決戦となる今月三十一日の総会で行われる評議員選挙。各派がそれぞれの活動に拍車をかけている。戦後移民を中心に結成された「しんせいきのかい」は七十七の個人、団体立候補者を〃公認〃、十八日には決起集会を開き、選挙対策を講じた。一方、百人の公認立候補者を抱える〃与党〃上原派は、二十日夜にサンパウロ市リベルダーデ区のホテルで集会を開く予定。まさに選挙戦の火蓋が切って落とされた形だ。これに対し、理事会選挙にシャッパを提出すると見られている小川彰夫氏(現文協副会長)は、沈黙を守っており、三者三様の構えを見せている。百周年を来年に控え、それぞれの思惑が交錯するなか、日系コロニアは大きな正念場を迎えようとしている。

■すでに250人が投票■
 十日後の三十一日、評議員選挙が行われる総会が開かれる。すでに会員には、二百三十三人の立候補者名簿が郵送されており、三十日までに文協事務局に郵送、もしくは当日までに提出する必要がある。
 文協事務局に設置されている投票箱には、すでに約二百五十人が投票済み。文協事務局では現在、今月十五日までに会費を完納した有権会員の数を割り出しており、二十日夜に開かれる選挙管理委員会に提出し、選挙当日の対策を練る。

■それぞれの動き■
 来月十八日の第一回評議員会で行われる理事会選挙にシャッパを提出すると見られているのは、上原幸啓現会長、小川彰夫副会長の二人。
 この二候補をけん制する格好で急速に存在感を強めているのが、戦後移民を中心とする「しんせいきのかい」。すでに十八日、決起集会を開き、四十人近くが意見交換を行った。
 世話人の小山昭朗氏は、「理事会シャッパを作るつもりはない。一世の発言力を強めたい」と会設立の趣旨を語っている。
 「しんせい―」は今月十五日、七十七の公認立候補者の肩書きなどを明記したリストを一世中心の千七百会員に郵送、十四日には邦字二紙に広告を打った。
 一会員にしてみれば、ローマ字で書かれた二百三十三人の立候補から百人を抽出することは困難。現体制に有利と見られる「人気投票」への傾斜にくさびを打った形だ。
 この動きに対応するように、十四日付けで現体制支援グループ(GAS)は、百人の公認候補名簿を全会員宛に郵送、二十日にはリベルダーデ区のホテルで集会を行う。
 一方、以前から評議員立候補への呼びかけを行っていた小川氏。百近くの支持者を集めたとされていたが、「実際は五十を少し超えるくらいでは」(小川氏)と見る。
 両派の公認を差し引くと、五十六の立候補者が残り、その言と数を同にするが、各派に支持を表明する〃レロレロ〃派が十数人はいるようだ。
 小川氏は、「敵味方を現段階で作るつもりはない」と公認立候補者の名前は明かさず、「全ては三十一日に始まる」と静観の構えを見せている。

■連立の可能性も■
 百評議員プラス六永年評議員が理事会選挙の有権者となることから、五十四票が当選するための過半数となる。
 候補者数では、上原派が有利だが、すでに会員に対し、各派が評議員立候補者への投票を依頼する電話攻勢を行っており、実際に箱を開けてみなければ分からない状態だ。
 なお、当選した各派の評議員数によっては、「しんせい―」が独自のシャッパを提出、過半数を割ることにより切り崩しを図り、第二次投票に持ち込むことも可能だ。その後、連立により〃一騎打ち〃というシナリオもあり得る。
 百周年を目前にコロニア大同団結の正念場ともいえる評議員選挙は、十日後に迫っている――。