キューバなど4カ国で日本語教師を指導――基金文化センター、吉川講師を派遣=日本ブームのベネズエラ=「好きな子が一番伸びる」

2007年3月23日付け

 国際交流基金サンパウロ文化センターは、二〇〇六年度日本語教師巡回指導を一月末から二月にかけて実施し、吉川真由美エジナ同センター専任講師主任が、ボリビア、ベネスエラ、キューバ、ドミニカの四カ国を訪問、指導を行った。
 継承日本語を教えているところ、教師が非日系の学校など、各国での状況は様々だが、吉川さんは「どこでも日本語が好きな子が一番伸びている」と感想を語り、「ブラジルが積み上げてきたものを提供して、相互に意見交換ができればいいと思う」と抱負を述べた。
 毎年行われている同巡回指導は、現地からの要請があって初めて巡回を行う制度になっている。「ブラジルと違って、(教材や講習会の面で)どこもそれほど恵まれてないけど、皆さんやる気があって勉強になりました」と、吉川さん。
 日系移民の少ないキューバとベネズエラでは、教師らは現地の非日系と結婚を機に移住した日本人。そして生徒はほとんど非日系だ。
 吉川さんは「ベネズエラは日本ブームみたい」。同国内では大使館が中心となり「かなりの規模での行事が行われている」という。「日本文化週間」や、大使館の職員が月に一回、公立学校を訪れ、日本文化を紹介する「広報スクールキャラバン」といった企画で、四季や日本の食べ物、武道、折り紙が紹介されており、「やれば人が集まるみたいです」(吉川さん)。ベネズエラでは国内での日本語能力試験開催が目指されている。
 キューバでの日本語教育は、成人の学習者らが、大学の選択科目として行っており、日本への留学や研究が目的。全国で二百人程度いるといわれている。
 個人的に物を買うことができないという、キューバ独特の事情のために、「教材や教具が一番不足している」と吉川さん。「いかに援助を行い、いかに学習者を増やすか」が論点となりそうだ。
 また、巡回指導として初めて訪れたボリビアでは、「第二回ボリビア日本語教師合同研修会」の一環として、吉川さんのセミナーが行われた。同地では、全国規模で教師らが集まるのは今回が二回目。継承日本語を教えている移住地では「一世が減り教師がいなくかったら」と不安を抱き、ラパスなど約四〇%の非日系の生徒を抱えているところでは、外国語としての日本語の教授法に悩んでいるという。
 ドミニカでは、子供に「学習をする気」を持ってもらうために、と吉川さんの模擬授業が行われた。
 「学習層や学習目的、どれもその国独特のもの」と前置きし、吉川さんは、「やる気のない生徒はどこでもいる。日本語がどれほど将来役立つか、なぜ勉強しているのか、動機付けをすることが大事。やっぱりやりたい子、好きな子が一番伸びるみたいです」と総評。「ブラジルで行われてきて、積み上げられたものは提供できる。提供するだけでなく、その後で相互に交流をするといい」と期待を話した。