浜松の女子高生死亡自動車事故――伯司法=国外犯処罰で日本に証人依頼=嘱託尋問の手続き始まる

2007年3月23日付け

 初の国外犯処罰(代理処罰)裁判となった桧垣ミルトン被告の浜松女子高生ひき逃げ死亡事件に関して、フォーラム・ジャバクアラからサンパウロ州高等裁判所へ二十日に嘱託尋問書が送られ、日本の司法当局に対して被害者の父・落合敏雄さんを含めた十人に証言を取り直す手続きが始まったことが分かった。
 桧垣被告の弁護士カーチャ・ダ・コスタ・ベウモンテ氏と検察側が会合を持って質問事項を決め、司法通達はアントニオ・アウバロ・カステロ裁判官の名で送付された。
 検察側証人としては落合さんら五人、弁護側証人には日系人ら五人、計十人分の尋問を依頼している。常に検察・弁護両側のいる場所で行い、最初に弁護側証人、次に弁護側証人に尋問するよう注意書きがされている。
 質問内容は検察側からは「被告を知っているか」「事故の地点から遺体までの距離や、そこから分かる衝撃度はどの程度か」など七問。弁護側からは「被害者は横断歩道を渡っていたのか?」「現場付近には運転手に歩行者の存在を注意喚起するような表示があったか?」など五問。
 九九年七月に静岡県浜松市で女子高生落合真弓さん=当時(16)=がひき逃げされ死亡した事件で、業務上過失致死と救護義務違反の罪に問われている。二月六日にサンパウロ市で初公判が行われ、桧垣被告は大筋で罪状を認めている。
 サンパウロ州高等裁判所広報によれば、次に法務省に送られ、「いつ戻ってくるかは日本側次第」とのこと。返答を待って次の公判日程が決まられる。
 サンパウロ大学法学部教授の二宮正人弁護士によれば、「民事なら通常、返答が戻ってくるまでに一年間かかる」という。ブラジル法務省から同外務省、在京ブラジル大使館、日本の最高裁判所、静岡地裁浜松支部へと順繰りに送られ、証言をとったのち、再び同じルートを通って戻ってくる。
 二宮弁護士は「刑事の場合、どの程度かかるか?」と問いかけ、「早く両国間に司法共助協定を結び、時間を短縮できるよう早くお願いしたい」と強調した。