業種別11部会長集う=会議所、前年回顧、今年展望

2007年3月24日付け

 ブラジル日本商工会議所(田中信会頭)主催の「業種別部会長懇談会」が去る二月二十三日午後、サンパウロ市のソフィテル・ホテルで開かれた。テーマは「二〇〇六年の回顧と二〇〇七年の展望」。会員企業関係者を中心に約九十人が参加、会議所内の十一部会代表が現状と今後の見通しを語った。
 来賓のあいさつで、島内憲大使は「日本国内でブラジルへの関心が高まっている」と強調。今月六日に開催された日伯経済合同会議は「来年の日本移民百周年、日伯交流年に相乗効果を期待できる」とした。
 丸橋次郎在聖首席領事は講評で、「中国、韓国製品の台頭やレアル高による輸出業の苦戦は見られるが、全体的に非常にいい方向にある」と印象を述べた。
 【コンサルタント部会】
 報告テーマは「アジアの時代」。一五年ごろまでにASEAN加盟国が日本など六カ国と協定を結び、「東アジア自由貿易圏」を成立する可能性がある。ブラジルの対中資源輸出の拡大は日本企業の機械、プラントなどの受注機会を増大させる。
 【金融部会】
 金融業界は〇六年の大統領選挙に関し、四年前と異なり冷静に対応、ブラジル経済の安定性を内外に印象付けた。〇七年は堅調な経済成長になる見通しで、銀行業界では金利の低下を予想、〇六年に増加した不良債権の比率も減少する。
 【貿易部会】
 〇六年のブラジル貿易収支は四百六十億七千四百万ドルの黒字で四年連続の過去最高を更新した。中銀の見通しでは、〇七年は貿易黒字三百五十億ドルを展望する。
 【化学部会】
 同部会の十業種で〇六年に売上減少したのは農薬と飼料添加物会社のみ。農薬は過去四十年来最悪で滞留債権の大幅増、レアル高、農産物市況の減少が影響した。〇七年は全体として上向き傾向だが、中国からの安価製品の台頭が脅威。
 【機械金属部会】
 〇六年は好調と不調の企業に分かれた。製鉄と鋼材販売関係は〇四年がピーク。農業機械の業績は一昨年から二桁減少が続く。今年は大豆の国際価格の上昇を見込み、生産者の農業機械の購買意欲増加を期待。
 【繊維部会】
 国内生産の減少、輸入増加などが影響し、業界全体の流通量が増加し値下げ競争が激化中。〇七年にはPACなどの金利引下げ、最低賃金の上昇を期待。
 【食品部会】
 即席麺は堅調だが競争激化が進展。コーヒーは〇七年に五%の国内消費の伸びを期待する。外食も二桁成長の見通し。
 【電気電子部会】
 〇六年上期はテレビがワールド・カップ効果で一九%の伸びを記録。しかし下期は全体として生産過剰気味で、在庫処理に苦戦した。〇七年の共通課題は固定費削減などで、少なくとも現状維持を目指す。
 【建設不動産部会】
 〇六年のセメント販売量は〇五年より九%増。サンパウロ市内の不動産販売件数は横ばい続き。家具も売上げを伸ばしており、〇七年も期待。建築業は〇七年に人件費、建設資材の価格上昇で収益悪化が予想される。
 【運輸サービス部会】
 〇六年下期は、航空業で原油価格の高騰に遭ったが、全体的に拡大傾向。海運、構内物流は港湾インフラ整備を望む。通信分野では〇七年、サンパウロで四番目の携帯電話業者が誕生する見込み。
 【自動車部会】
 商用・乗用を含めた四輪車生産は〇六年、二百六十万六千台の過去最高を記録。フレックス車の販売割合は全体の約八割まで上昇。二輪車は〇七年に過去最高の百六十万台の販売を予測するが、中国からの安価なコピー二輪車が悩み。