コラム 樹海

2007年3月29日付け

 今週末の文協評議員選挙から始まる新会長選びの争点の一つは、サンパウロ市式典会場問題ではないか。サンバ会場が適当かどうかは議論が分かれており、ずっと不満がくすぶっている。昨報の「しんせいきのかい」主張を見ても「式典会場と内容について再考する」と明記されている▼当初、移民行列をやるから同会場との話だったが、発案者である田中洋典祭典委員長が降り、演出担当の成戸稔氏が抜け、「もう不可能」との声も聞こえる。百周年協会関係者も「実はどんな行列になるのか誰も知らない状態」と困惑した様子で明かす。使い勝手や過去の実績からすれば、パカエンブー蹴球場に軍配があがる▼皇室が来られる可能性のある式典にも関わらず、このように不安の種を残すのは良くない。最近公にされた五木ひろしに君が代を歌ってもらう件でも不協和音が聞こえた。皇室の前で日本の国歌を歌うのであれば、それが誰であれ、本来はコロニアだけで決められるものではない。サンパウロ州であれパラナ州であれ同様だ。外務省や宮内庁に根回しした上で決めるはずが、勝手に発表した形になってしまった▼式典の正確な時間すら流動的なこの段階で、特定の細部だけ決めてしまうのは、いかにもチグハクな印象を与える。今後、式典に関しては総領事館と連絡を密にする必要がある▼二年前の選挙では「ビラ・レオポルジーナ問題」に焦点が当てられ熱い議論となった。今回は「式典問題」がその代わりだろう。たとえサンバ会場を使うにしても、不満や不安が残らないよう、しっかり議論をして本当の意味でのコンセンサスにしたい。(深)