統一シャッパ、一歩遠のく=文協選挙=大原氏が要請を固辞=票獲得に走る他派勢力

2007年4月13日付け

 「無理だと思う。文協にも迷惑をかけることになる」――。
 十一日夜に開かれたGAS(現体制支援グループ)の会合で文協会長への立候補要請を受諾するとみられていた大原毅氏(現文協評議員会長)が、仕事の多忙を理由に要請を断っていたことが十二日、分かった。
 再考の余地を残しつつも唯一の大同団結の候補だっただけに、状況は一気に流動化、事態収拾は混乱の兆しとともに今週末にまで持ち越される見込みだ。
 大原氏はニッケイ新聞の電話取材に対し、「仕事が忙しいし、はっきり断った」と答え、渡部和夫氏に他候補者の検討を依頼したという。
 再考を求める声に返事を一旦留保、「今週末までにはっきりと返答したい」(大原氏)と述べるに留まった。GASは十六日にシャッパ作成のため、再度会合を開く。
 三時間を超えたという会合に出席した重田エルゾ氏によれば、シャッパの人選も行われ、二宮正人、小山昭朗、多羅間俊彦、井料堅治、下本八郎、高木ラウル各氏の名前が挙がったという。
 同日、会合を持った「しんせいきのかい」、小川彰夫氏の両派は、票読みを行っている。四十票を持つとする「しんせい―」に対し、小川派は票数が少なかったものと見られ、両派併せても過半数に達しなかったようだ。
 この状況を踏まえ、票獲得のための作戦が検討され、体制側の切り崩しを含めた票固めに力を入れていく考えだ。
 「しんせい―」幹部によれば、他評議員に影響力のある数人にターゲットを絞っており、この数日で説得工作が行われるとみられる。
 一連の動きに関し、「しんせい―」側は高木ラウル氏を担いだ対抗シャッパ提出の可能性も否定しておらず、十八日のシャッパ提出期限を前に状況が急展開することも有り得る状況だ。
 「しんせい―」は十四日にも会合を開き、統一シャッパの人選、または対抗シャッパの可能性について煮詰める予定。
 同派としては、対日本の体制作りや実行力に信頼を置く谷広海、中沢宏一両氏を送り込みたい考えだが、情報筋によれば、〃代表的戦後移民〃である両氏の参画に反対する勢力がGAS内にあるという。
 高木氏も両氏の加勢なくしては、文協再生はないとの考えを表明しており、副会長の人選に関してはGASとの食い違いが見られるようだ。
 なお、GAS側には、新聞社社長であることを理由に高木氏の会長選挙出馬を疑問視する声も同時にあるとの話もあり、現時点では、大原氏以外に〃挙国一致〃は難しそうだ。
 高木氏は十二日午後、GASの中心メンバーである渡部氏との話し合いを予定している。