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コラム 樹海

2007年4月19日付け

 JICAが日本語教師の本邦研修を将来廃止するとの観測が流れ、ブラジルの日本語教育関係者が動揺し、廃止を止めてもらうよう署名活動が展開されている▼今や日本語教育はブラジル内だけの問題ではなく、すでに日本国内の課題でもあると考えられる。ブラジルできちんと日本語教育を受けなかった層が訪日就労に行くから、問題を起こしやすいとの指摘があるからだ。昨年末から代理処罰(国外犯処罰)裁判についてどれだけの報道がなされたか▼百年祭後にはJICA在聖支所を縮小・閉鎖させるのでは、との噂話も耳にすることがある。そのたびに移住者からは「やっぱり俺達は棄民か」とため息混じりの声が漏れる。外務省やJICAが深く国策移住に関わってきたことは誰にも否定できない▼その移住政策から始まった日伯関係は、一世の一代限りで終わりではない。二世、三世が日本に働きに行くことにより、移住政策に起因する人流は日本国内にも逆流して、むしろ影響を拡大しつつある▼日本を国連常任理事国入りさせたいとの悲願のために、アフリカ諸国の票を取りまとめせねばならず、ODA予算をそちらに重点的に振り分け、その分、日系社会向けが減らされているとの分析を日本のマスコミ関係者から聞いた。だが、日本語教育は日本国内の〃移民問題〃でもあると思う▼在日外国人の極の一つに日系人をすえ、日本社会との中間層的な役割を担える人材を育てる考え方があってもいい。ブラジルには日本語教育ノウハウの蓄積がある。廃止ではなく、その人材をもっと有効活用する方向性があってもいいのでは。(深)

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