新谷教授語る=若さと長生きの秘訣=野菜、未精製穀物、海藻がいい=ストレスためない=夕食は午後6時までに

2007年4月22日付け

 「若さと長生きの秘訣は健康な腸相にある」――。四十数年にわたり日米をはじめ三十万人以上の胃や腸を検査してきた新谷弘実アルバート・アインスタイン医科大学外科教授(72)が二十一日、「病気にならない生き方」と題した講演会をサンパウロ市内のホテルで開いた。アニュー有限会社の主催。午前中に専門医を集めたセミナー、午後からは一般聴講者を迎えての講演会をおこない、満席の会場からは同教授が提案する独自の食事法に大きな関心が寄せられていた。
 十九歳の時から薬を飲んでいないという新谷教授は、病気をせずに若さと健康を保つためには、体内酵素「ミラクル・エンザイム」を消耗せずに、良い胃相や腸相を維持する食・生活習慣が基本と主張する。
 同教授が考案した「ビオジマ食事法」は、肉や乳製品、アルコール類を避け、穀物や野菜、果物、海藻類を中心にした食事法を指す。肉食・乳製品を多く摂取すると、大腸ガンやポリープの発生率を高め、動脈硬化や心筋梗塞を引き起こす要因になるという。
 食事法の具体例としては、毎食一時間ほど前にミネラルウオーターをコップ二、三杯(五百ミリリットル)を飲むようにし、一日二リットルを目安にする。お茶類は麦茶、そば茶、カモミールなどハーブ茶にし、ペットボトル製品ではなく自分で作ったものを飲む。
 またコーヒー、日本茶、中国茶、紅茶、どくだみ茶、杜仲茶、人工甘味料入りのソーダ類やスポーツドリンクを飲まないようにする。日本人の胃がん発生率がアメリカの十倍に達するのは、緑茶などに含まれるカテキンが胃の細胞を傷つけるためだと説明する。
 白砂糖の過剰摂取についても体を酸化させ、糖尿病、動脈硬化、低血圧、脳梗塞、心筋梗塞の要因となると指摘。精神状態もいらいらし、怒りやすく、うつ病につながる。
 このほか食物添加物入りの加工食品、特にバター、クリーム、マーガリンはとらないにようにする。マーガリンに関しては成分構造がプラスチックとほとんど同じで、人間が食べるものではないと同教授。刺激が強い胡椒や唐辛子、キムチなども少量に控え、高血圧、腎臓病、心臓病を誘発する塩分の強い食品を控えるようにする。
 さらに新谷教授は健康イメージが強い牛乳や乳製品は長年の臨床結果から、心臓の冠動脈性疾患、前立線ガンの発生率を高め、潰瘍性大腸炎、骨そしょう症を引き起こす原因になるという。また学校給食での牛乳にも触れて、新生児は母乳で育て「子どもでも牛乳が好きな子以外は無理に飲ませないほうがいい」とアドバイスした。
 新谷教授は食事バランスの目安として「野菜類を八割以上、肉を二割以下」に抑えるべきと解説する。新鮮な野菜のほかに未精製の穀物類、栄養価の高い玄米、わかめやこんぶ、ひじきなどミネラル分が豊富な海藻類を中心にし、体内酵素を補う生魚や小えびのほか、みそなどの発酵食品をとるようにする。肉を食べるときは脂肪分の少ない地鶏肉がおすすめだ。
 また食事は遅くとも午後六時ごろまでに済ませ、就寝中には「胃を空にすること」。食べるときも七十回以上噛んで飲み込むようにすると消化によい。
 同教授によれば、これらの食事法を心がければ、一年で腸の状態が正常にもどり、健康な生活がおくれるようになるという。
 新谷教授は講演後のインタビューで、「自分の気持ちに正直に生き、ストレスをためない生活」が長生きのポイントになるとコメント。「仕事ばかりでなく、自分の好きな時間をしっかりもち、楽しく前向きな気持ちを保つのが大切です」と話していた。