老ク連教室=書道が人気=ボケの防止にいい?!=部屋に入りきれないほど=〃空き〃を待っている

2007年4月28日付け

 老人クラブ連合会(重岡康人会長)が月に二回行っている書道教室がいつも満席、習いたい人が空きを待っているほどの人気を見せている。現在、教室の登録者は六十人。老ク連のサーラには四十八席しかないため、午後一時から始まる教室のために、正午過ぎには場所取りの生徒らが続々と老ク連を訪れる。教室を指導している若松孝司さん(76)は「私にとっては、大変ですよ」と話しながらも満面の笑顔を見せた。
 同教室が始まったのは、九年前。「最初は五、六人でしたね」と若松さんは振り返る。「どんどん増えて、今ではこんな状態ですよ」。
 生徒のほとんどを一世が占め、約十人程度が、二世と幼いときに渡伯したブラジル育ちの〃準一世〃。若松さんは「日本の小学校で習ったとか、ここで育っても日本語学校でやったことのある人が多いです。初めての人もいますけどね」と、生徒らの経歴を説明する。
 教室はそれぞれのレベルに合わせて、二十の教科書を使い分けている。まず楷書、行書から入り、草書や変体仮名や隷書へと進んでいく。手本を見せて説明し、上級になるほど、細かいところへの注意がとぶ。毎回、練習の成果を提出して教室は終了。次回に、若松さんが赤筆をいれてくるというやり方をとっている。
 「書道は十年以上やらんとものにならんからね。三カ月経ってやっと〃はね〃ができるというところ」と若松さん。自身は、五十歳のときに妻に誘われて書道を始め、日本の北辰書道会に入り、練習を積んで教師免許を取得した。「五四年に二十三歳で渡航して来ましたから、書道は小中学校でやっただけでしたけどね」。
 老ク連の教室がいっぱいになるのは、若松さんによれば「やはりまとまって来やすいのと、安いからでしょうね」。また、書道は始めるのにとっつきやすいという。
 教室が開設されたときから通っている、玉置久子さん(82)は「上達しましたよ」と笑顔。書道を始めて二、三年の野中みどりさん(69)は「最近やっとカナをやらせてもらえるようになりました。なんでやってるかって、ボケ防止ですよ!!」と元気そのものだ。
 北辰書道会にも入会し、漢字四級の山田富子さん(82)は「だんだん上がっていくのがいいです。みなさん、真剣で」。若松さんは、「上級になるほど芸術的価値を求めるようになります。四、五人の作品は日本に送ったりしてます」と話した。
 また、老ク連では、午後の書道教室に加え、午前中にも百人一首を題材にした書道教室を開講。同じく若松さんを講師に、一日に一句ずつ声に出して音読し、意味を確認した上で、楷書、行書、仮名書の作品を作る。現在二十人ほどの生徒がいるが、「少し上級な人向けのクラス。字を書きながら音読することが脳の活性化にいい」と、若松さんは参加を勧めた。
 老ク連の教室は、第二、第四金曜日午後一時から午後三時。書道教室は、ほかにブラジル書道愛好会や、茨城県人会、ピラチニンガクラブ(ピニェイロス)や曹洞宗仏心寺などでも開講されている。