日本政府春の叙勲発表=ブラジル在住者、5人受章

2007年5月1日付け

 日本政府は四月二十九日に二〇〇七年度春の叙勲受賞者を発表した。ブラジル在住の邦人四人、ブラジル人一人の計五人。在サンパウロ日本国総領事館、在クリチーバ日本国総領事館、在ポルト・アレグレ出張駐在官事務所の三管轄内から選ばれた。伝達式は管轄ごとに行われる予定。

◎老ク連活動を推進=サウーデ文協元会長、老ク連会長=旭日単光章=重岡康人さん

 【在サンパウロ総領事館】旭日単光章を受勲することになった重岡康人(やすと、82)さん=サンパウロ市在住=は「田舎者であり五歳の時にブラジルへ渡ってきて、数年すれば日本へ戻ると考えていたために学校には行かなかった。教育も受けていなくて、日本語もポルトガル語もままならなかった私が、このような勲章を受章できたのはみなさまのおかげです」と声を弾ませた。
 主な功績は、サウーデ文化協会会長として協会および日本語学校の発展、同地区会員邦人の団結、安定に貢献。ブラジル日系老人クラブ連合会長として、傘下の老人クラブ育成並びに日系高齢者の保護、自立に貢献したこと。

◎ノロ地方相撲振興に貢献=ペ・バレット文協元会長=旭日単光章=田中俊雄さん

 同じ勲章を受けることになった田中俊雄(74)さん=ペレイラ・バレット市在住=は「受章できたのは至上の名誉であり、生涯最高のことである」と淡々と喜びをかみしめた様子だった。
 主な功績は、ペレイラ・バレット文化体育協会会長を三度歴任し、協会の発展および邦人移住者の団結、安定に貢献。ノロエステ地方における相撲の発展、普及に貢献すると共に有力選手を育成したこと。

◎地域文化福祉活動に貢献=ウムアラマ文協元会長=旭日双光章=吉井巌さん

 【在クリチーバ総領事館】旭日双光章を受勲することになった吉井巌(いわお、83)さん=パラナ州ウムアラマ市在住=は「外務大臣表彰に次いでの受章ということで内心びっくりしていて、嬉しいような恥ずかしい感じです。これもみなさまのおかげです」と表現は控えめながらも、内心は喜びにあふれた雰囲気をかもしだしていた。
 主な功績は、ウムアラマ文化体育協会会長として同地域におけるスポーツ・文化活動を通じ日系人の融和、親睦に尽力し、会の発展に貢献。パラナ老人福祉和順会の役職にあって、老人福祉施設の開設から現在まで物心両面にわたる協力を惜しまず、同会の発展に貢献したこと。

◎自家発電機の開発、電化推進=クリチーバ文援協元会長=旭日双光章=岡村良雄さん

 同じ勲章を受けた岡村良雄(77)さん=パラナ州クリチーバ市在住=は「以前、日本で通産大臣賞をいただいた。二度目の名誉ということで驚いています。いただけるだけで幸せです」と感動した様子でのべた。
 主な功績は、自家発電機を独自に開発し、アサイ市周辺地域の約七百五十日系家庭への電化を推進し、生活の向上、農業振興に貢献。アサヒ青年文化スポーツ連盟文化部長として、アサイ地域に居住する日本人移住者家族の慰労と親睦に貢献。クリチーバ日伯文化援護協会会長として、日本語教育の発展に大きく貢献。パラナ日伯商工会議所副会頭として、パラナ州内進出本邦企業に対してブラジル経済事情などを指南して貢献したこと。

◎日語教育、日本文化紹介に貢献=RS連邦大学日本研究所元所長=旭日小綬章=P・W・ジッキさん

 【在ポルト・アレグレ出張駐在官事務所】旭日小綬章をすることになったパウロ・ヴァルチ・ジッキ(Paulo Warth Gick、59)さん=ポルト・アレグレ市在住=は開口一番に、「何故、日本に魅了されたのか分らない」と振り返りつつ、「若い人たちに日本の文化を紹介し伝え、もっと興味を持ってもらいたい」と笑いを絶やさず明るい声で語った。
 さらに「日本の文化や社会など、あらゆるものが異なっているところが魅力。しかし、日本の情報を得るのが大変」と嘆いた。
 主な功績は、リオ・グランデ・ド・スル連邦大学の日本研究所元所長として日本語教育の発展および日本文化の紹介に寄与したこと。