図書千四百冊をコロニアに=三省堂書店125周年で=10図書館に新刊40冊ずつ=「希望する団体は連絡を」

2007年5月3日付け

 「本の欲しい図書館はご連絡を」。日本の大手書籍販売企業の株式会社三省堂書店(代表取締役社長亀井忠雄)=本社・東京=は創業百二十周年を記念して、日本語と英語の図書一千四百冊をブラジル日本文化福祉協会(上原幸啓会長)や各地の図書館などに寄贈するプロジェクトを進めており、受け入れ先十団体の希望を募っている。
 文協は日本移民百周年の記念行事の一環として蔵書の一新を進めており、それに亀井社長らが協力を申し出たことで今回のプロジェクトが実現した。
 ブラジル側はMANX社の小松幹彦社長、JICAシニアボランティアとして文協図書館に勤務する山本自子さん、ニッケイ新聞社の高木ラウル社長、日本側ではビジネスコンサルティング翡翠(ヒスイ)社の岡本弘昭代表が協力。
 寄贈される一千四百冊のうち、一千冊は文協の図書館に寄贈され、残りの四百冊は四十冊を一つとして十個のパック(全て同種)が各地の図書館などに配られる。地方日系団体の日本語図書館、県人会などがその対象となる。
 四十冊の中には、宮部みゆきのサスペンスの名作『模倣犯』、第百十七回直木賞を受賞して映画化もされた浅田次郎の『鉄道員(ぽっぽや)』、瀬戸内寂聴の『私の源氏物語』などのベストセラーも含まれている。
 山本さんの「置くべき本と、実際に読まれる本は違う」との考えから、日系社会からの要望を反映した寄贈リストに一部入れ替わっている。
 文協図書館に寄贈される具体的な図書は、最新版の辞典や辞書、法令法類に加えて新書や文庫、漫画などで、そのほとんどが二〇〇〇年以降の最新図書。中には『世界の中心で愛を叫ぶ』などのベストセラー本も含まれている。同書店としても日本の出版関係者の協力を得て実現した。
 同プロジェクトはJICAの「世界の笑顔のために」というプログラムにより、支援物資は日本の同機構の倉庫に収められていて、現地までの輸送費を負担してくれることになっている。
 実際に図書が届くのは今年の八月末を予定している。その頃には全ての図書検索をコンピューターで行えるようにと情報入力に山本さんは奮闘している。
 今回の応募次第で、受け入れ側の平等性を考えて審査し、山本さん、小松社長、高木社長の三人で検討し、寄贈先を決定する。申込の締切日は七月三十一日。希望者は文協図書館の山本さん(11・3208・1755)もしくはニッケイ新聞(山根・11・3208・3977)まで。