コラム 樹海

2007年5月5日付け

 日本はゴ―ルデン・ウイ―クの連休が続き空や鉄道も満杯。高速道路は渋滞が60キロにもなり大騒ぎらしい。成田空港は海外へ出かける旅行者が72万人を超すとかで混雑が激しい。こうした観光派には結構なGWなのだが、今年の5月3日はちょっと騒々しかった。憲法が施行されて60周年であり、改憲か護憲かと意見が分かれ新聞も真っ二つに割れての議論である▼現行憲法を改正し自主憲法を制定したいの動きは昔からあった。鳩山一郎、岸信介元首相も改憲論者であり、昭和30年に自民党が結成されたときに「改憲へ動く」はずだった。けれども、社会党などの野党が衆院の3分の1を超える議席を獲得したこともあり、以後―あまり表立った動きはない。しかし、この10年ほど前からの世論調査では、60%近くが、改正を望んでいる▼平和憲法の呼び方があるように、現行憲法が果たした役割は大きい。だが、前文や9条など見直しが必要なところが多いのも否定できない。憲法改正に強い意欲を燃やす安倍首相が、3日に異例の談話を発表し「国民の討論を」と訴えたのにも注目したい。安倍内閣は「憲法改正を最重要政策」としており、これからは国民の論議が確実に高まる▼共産、社民は護憲一点張りだが、何でも反対ではなく、もっと冷静に見つめるべきではないか。もはや「不磨の大典」だけでは通用しない。日本と同じ戦後組のドイツは52回も改正しているし、憲法や法律も時代の移り変りに敏感であっていい。自衛隊の位置付けや環境など難しい問題もある。だからこそよく考え議論を深めて参りたい。   (遯)