「Tanabata」使うな?!=主要2団体に不協和音=今年の本番まであと2カ月

2007年5月8日付け

 リベルダーデの冬の風物詩「サンパウロ仙台七夕祭り」をめぐって、主催の宮城県人会(中沢宏一会長)と協賛団体のACAL(リベルダーデ文化福祉協会、池崎博文会長)との間に不協和音が生じている。三十年近くにわたって共に祭りを育ててきた両団体だが、四月二十六日、ACALから県人会に対する通告書が到着。「sendai tanabata matsuri」の商標はACALに属するとして、不当使用の場合は法的手段も辞さないとする穏やかではない内容だ。背景にはどうやら、祭りの運営を巡る意見の不一致がある様子。両者の主張は平行線をたどっている。
 一九七九年、当時の宮城県人会長、大橋鉄雄氏の発案によりはじまった七夕祭り。水本毅リベルダーデ商工会長(当時)の協力のもと、〃日本人街〃リベルダーデの風物詩として発展、定着してきた。今年で二十九回目。今ではサンパウロ市、州の観光局も後援しており、まさにサンパウロの冬を代表するイベントに成長してきた。
 宮城県人会関係者による七夕飾り製作は毎年おなじみの風景。日本移民百年を迎える来年には、三十回の節目を迎える歴史ある行事だ。
 宮城県人会に送付された同通告書は、「Sendai Tanabata Matsuri」の名前はACALによって登録されており、使用にあたっては同協会の許可が必要、というもの。不正使用に対しては法的手段に出ることも有り得るとする内容だ。
 網野弥太郎ACAL評議員会長は、今回の〃いさかい〃の背景として、七夕祭り開催をめぐる両団体の役割分担に「ずれ」が出てきたことがあると指摘する。
 七夕祭りは最初の開催から現在まで、宮城県人会が主催、ACALが協賛する形で実施。網野氏によれば、当初から、市役所や交通局、リベルダーデ広場舞台でのアトラクション出演団体との交渉、宣伝・広報などはACALが担当してきた。
 それが近年になって、県人会が主体となって行政との交渉や広報に関わるようになってきたことで、ACALとの軋轢が顕在化。両団体は〇二年にあらためて双方の役割分担を定めた協定書に署名したが、その後も状況が変わらなかったことから、ACALが先月の役員会で通告書の送付を決定したという。
 通告書を受けた中沢宮城会長は「申請はしていても、調べた範囲ではまだ登録されているわけではない」と主張。さらに「『Sendai』の名前を登録するのに本場の仙台市の許可もいるのでは」と話す。
 「竹の切り出しから運搬、飾りまで、すべて県人会が全力でやっていること」と語る中沢氏。「七夕祭りは宮城県人会が主催してやってきた行事。市でもそう認識している」と県人会側の主体性を強調する。一方で「(ACALと)真っ向から対立する気持はない。やるべきことをやっていくだけ。話し合い、理解を求めていきたい」と話している。
 今年の七夕まであと二カ月。すでに七夕飾りの製作も、イベントの準備も始まっている中で降ってわいた今回の騒動。最初の開催から同祭りに携わってきた網野氏は、「昔はもっと話し合い、譲り合いで問題を解決してきたもの。平和や友情を願って行なわれる七夕で、主催側がもめていては、本来の趣旨に反するのではないか」と苦言を呈す。
 「七夕祭りは宮城県人会のものでも、ACALのものでもない。サンパウロ市民のもの」と強調し、さらに「地元の協力があってこそ、リベルダーデで三十年近くの間続いてきた、そのことを知るべきですよ」と語った。
 「今年はできても、このままでは来年(リベルダーデで)開催できるかわからない」と話す網野氏。本紙の取材に対し、中沢氏は話し合いの意思を見せたが、現時点では両団体の間に話し合いの場はもたれていない。