地蔵通して〝日本〟に触れる=信行真哉さん「無心のほほ笑み展」が閉幕

2007年5月16日付け

 ブラジル日本移民百周年のプレイベントとして行われていた墨絵・彫刻展示会「無心のほほ笑み~信行真哉の世界~」が閉幕した。
 同展は今月五日から国際交流基金サンパウロ日本文化センターで実施。今回の展示会のために持ち込まれた作品数は、絵が五十七点、像が十二点、その他の作品が百点以上に上る。展示室のレイアウトは沖中ロベルト氏が担当した。
 最終日の十二日には約五十人が来場。通常の展示に加えて粘土を用いての自由作成やお茶会のワークショップが行われた。
 展示場では地蔵を描いた絵や彫刻に魅入られるようにじっと見つめる人が多く見られた。見たことのないお地蔵さんを不思議そうに見つめている人もいた。
 展示会コーディネーターの林宗円さんは「元来、お地蔵さんは子供の守り神として作られたもの。今回の展示会を通して日系人の二世、三世、四世たちの発展を望むとともに、ブラジルで亡くなった方の供養になれば」との考えで今回の展示会を行った。
 ワークショップでは粘土を用いてお地蔵さんや自由に作品を作っていた。担当者の生駒憲二郎さんは「粘土で自分の好きなものを作ってもらうようにしている。日系人はお地蔵さんを作り、その他の人たちは個性豊かな作品を作っている。みんな様々で違う形にはなっているがみなさん上手に作っている」と嬉しそうな表情で話した。
 お茶会では、デモンストレーションでみんなの前でお茶をたて、見学している人たちに振舞っていた。甘い和菓子と苦い抹茶に悪戦苦闘しながら飲み干す非日系人の姿も。
 会場を訪れたジョン・エリアス・デ・ビリトさん(30、サンパウロ市)は「日本で浮世絵の勉強をしたくて今回絵を見に来た。日本の文化や絵にすごく興味がある。数日前にも一度訪れていて今回は像を作りたくてやって来た。展示については屏風に描かれている絵が一番印象的。平仮名や片仮名を読むことができるけど、意味や漢字は分らない」と日本文化に触れられている喜びを表わしながら語ってくれた。
 同展は次回以降、サンパウロ大学リベイロン・プレット校(六月一日から六月十六日まで)と「県連日本祭り」の子供の広場(七月二十日から二十二日まで)で行われる。