コラム 樹海

2007年5月16日付け

 「身の丈に合った」資金集め話である。ロンドリーナ沖縄県人会は、さきごろ会館で「フェイジョアーダ作り」を行い、翌日販売した。千三百食つくったそうだ。中心になって働くのは青年部。同県人会は、利益を体育館の建設と会館の改装費用にまわす。催しは、十五年ほど前から継続して行われている。計画的である▼一食からどの程度の利益が上がるだろうか、こうしたことにくわしい人なら暗算ですぐ数字をはじき出すだろう。莫大といえる数字ではない。こつこつ蓄積しているのだ▼多くの日系団体が資金づくりに食べものを売る。食べものに「祭り」を冠し、芸能を添えて人集めをはかる。交流、交歓を合わせて行う。一石二鳥である。これと、リッファ発行が資金集めの〃両輪〃である。一世たちが日本人会や文協の経営から退いたあたりで、この方法が主流となった▼一世は「寄付・醵金」の方法をとった。お金のある人が最初に金額を帳面に書き込む。その帳面をより多くの人たちに回す。回された人の中には辛かった人もいたかもしれない。子孫はその方法をとらない。食べたくなければ行かなくてもいい「焼きそば祭り」を選ぶのである▼サンパウロの百周年協会は、結成後かなり長い間、莫大な資金を要する「建物」をつくろうと検討した。資金的な裏付けがないにもかかわらずだ。ロンドリーナ沖縄県人会は将来自前の体育館を持つだろう。百周年協会もあと一年余り「身の丈に合った」仕事をすすめたらいい。(神)