国外犯処罰=7月に弁護側証人尋問=拘留期間百日過ぎて釈放も

2007年6月20日付け

 〇五年十一月二十一日に静岡県浜松市で起きた日本人レストラン経営者殺害事件に関して、三月一日に国外犯処罰(代理処罰)の第一回公判が行われたウンベルト・ジョゼ・ハジメ・アウバレンガ被告(35)の件で、弁護側の証人尋問が七月三日午後一時から、ミナス・ジェライス州のラフィエット裁判所で行われることがニッケイ新聞の調べで分かった。
 同裁判所広報によれば、弁護側の証人の数は十八日現在で未定。通常であれば、友人や家族らが被告の人柄を証言する内容になり、被告は出廷しないという。
 なお、アウバレンガ被告は第一回公判で、自分の後にも客がいたこと、帰伯計画は以前からだったことなどを主張、容疑を全面否認した。その内容を考慮し、日本の司法に依頼して追加証言を求める嘱託尋問依頼書(カルタ・ロガトーリオ)が四月十七日に同裁判所から送付されている。州法務局から連邦法務省などを通って、日本の司法当局へ届けられる。
 この嘱託尋問がミナス州裁判所に戻り次第、それを検証する公判が開かれ、その次に判決が下される。
 アウバレンガ容疑者は二月十六日に軍警に拘留されたので、二十日までに拘留期間は百二十四日が経過している。
 本紙が伯日比較法学会の渡部和夫理事長(元サンパウロ州高等裁判事)に確認したところ、「通常の抑留期限は百日程度」であり、「それを過ぎれば裁判官の判断で釈放される可能性がある」という。
 十八日午後、今件を担当するジョアキン・ミランダ・ジュニオール検察官に問い合わせたところによれば、「今回のような社会的に大きな影響のある重要案件であれば拘留延長はできる」と強調し、すでに裁判官に延長の申し立てをしたという。
 今のところは裁判官も同意し、被告は拘留されたままだが、同検察官は「弁護士側も保釈しようとあの手この手を使っている。最後の判断は裁判官の裁量にかかっている」とも語り、証人尋問までに釈放される可能性があることを認めた。
 二国間の行き来にともなう嘱託尋問依頼書の遅延がもたらす弊害が、あらためて浮き彫りにされた形だ。