衰え見せぬ日本の芸能=コロニア芸能祭盛上がる=「響ファミリー」圧倒的な人気=2日間で3千人入場=50団体、100演目、280人出演

2007年6月26日付け

 日系コロニア一大伝統行事の一つ、ブラジル移民九十九周年記念「第四十二回コロニア芸能祭」(ブラジル文化福祉協会芸能委員主催、頃末龍彦アンドレ芸能委員長)が、二十三、二十四日の両日、文協大講堂で開催された。三千人以上が来場し、来年の移民百周年に向け、日本芸能の分野でも高まりが見えた。日本で芸能活動している大衆演劇の「響ファミリー」が、〃恩返し〃で特別出演、圧倒的な人気をさらった。
 芸能祭には、約五十団体が参加。二百八十人が出演した。日本各地の舞踊、民謡、歌謡、太鼓、琴、三味線など百以上の演目が、二日間にわたって披露された。
 上原幸啓文協会長、野末雅彦JICAブラジル事務所サンパウロ支所次長、頃末芸能委員長らが開会式に出席。頃末委員長は「今回も盛大に、みなさんに楽しんでいただける芸能祭にしたい。若い世代の人たちに日本文化への興味を持たせるきっかけになれば」とあいさつ。
 今回の目玉は、日本から二十二日に来伯した劇団「響ファミリー」(響彬斗座長)。一週間のハードスケジュールの中、里帰りショーが行われた。
 開催初日の昼頃から、会場は既に満席。「響ファミリー」のショーを一目観ようと、立ち見がでるほど、一段と混雑をした。
 舞台の幕が開くと共に、会場中が一気に拍手と歓声で沸き上がり、「響ファミリー」が、壇上でレパートリーの劇を披露した。
 ショーの途中、彬斗さんが、舞台から降り、観客席の通路で踊った。来場者は立ち上がり、写真や握手を求める人の塊(かたまり)もできた。彬斗さんは「キャー、やめて」と逃げるように舞台へ戻った。その瞬間、会場は一気に笑いの渦に包み込まれた。
 ほか、太鼓や観客と一緒になって同じ振り付けをするなど、一体化した。舞台が終了すると、壇上で実行委員会関係者から、「響ファミリー」に花束が手渡された。
 司会が、アンコールが欲しいですか、と投げかけ、会場中が「アンコール」と連呼していた。彬斗さんも「やらさして下さい」とやる気を見せた。
 最後には、ポスターカレンダーを観客席に投げ、帰る人たちに、出口で見送りしながら、写真撮影やサインを行い、サービス精神が旺盛なところをいかんなく発揮した。
 彬斗さんは「最高だった。みなさんに喜んでいただけるのが一番嬉しい。わたしは、劇団のグループだけでショーをするのではなく、観客の人たちと一緒になって演じるほうがやり甲斐がある。来年の百年祭にも、この場所でショーをすることが決まっているので、盛大にやりたい」とコメント。
 来場した塩坂恵介さん(80)は「響ファミリーだけに、心に響いたね。このショーを観て元気をもらった。若い世代にもっとも影響力を与えられる人物だよ」と話した。
 サロンでは、バザーが開かれており、手芸品、衣類、飲食物、演歌のビデオテープなどが販売されていた。
 一昨年まで入場料を徴収していたが、今年は「冬古着一枚の寄付」の協力を求めていた。集まった衣類は、サンパウロ市の福祉団体などへ寄付される。