「移転価格税制」を聴く=会議所、コーン氏招いて

2007年6月26日付け

 ブラジル日本商工会議所(田中信会頭)は十五日、定例昼食会を開催し、ジョエル・コーンGIE(外国投資家グループ)総コーディネーターのジョエル・コーン氏を招き、「GIEの活動と第二次ルーラ政権に期待する事、カマラ移転価格税制委員会からの陳情進捗状況」と題した講演を聴いた。コーン氏は「ブラジルは将来的にはOECD(経済協力開発機構)に加入せざるをえない。そうなれば、(移転価格税制も)移行する可能性がある」と展望を語った。
 一九九〇年に成立したGIE。経済の開放、国際社会への積極的な参加によって、ブラジルの競争力、投資量が増加するにつれ、GIEも発展してきた。
 現在は、十二カ国とゲストの参加団体で成り立っており、大手現地法人の社長らも加え、コーン氏はGIEを「意見交換の場。フォーラムだと思っている」とした。
 その上で、「我々は決してロビー活動家ではない」と強調し、「ブラジルの近代化、発展のために、各国での経験を伝え、ブラジル政府への提案を行ってきている」。その働きとして、ブラジルへの投資データのデジタル化促進への協力をあげた。
 ブラジルの経済に関しては、「懸念事項の多かった不安定経済から、ここ十年くらいは安定している」。法規制が頻繁に変更され、長期投資が難しかったかつてに比べ「先を見通すことのできる経済になった」。
 ブラジルの構造改革、カントリーリスク高、重税や労働改革など残された課題に対し、「GIEができることは民間との話し合いを続け、企業の声を政府に持ち込むことだ」とコーン氏。財政赤字減、積極的な所得分配など、国際情勢の後押しも得て、今後も「どんどん環境はよくなるだろう」と語った。
 移転価格税制については、「かつては財務省の抵抗がかなりあったが、最近は弱まってきている」と説明。OECDへ加入することになれば、「本格的ではなく徐々にだが、移行する可能性がある。一応の勝利は得られるのではないか」と話した。
 また、同日行われた常任役員理事会では、活発な活動のための出張規定の見直しと、二〇〇八年の日伯交流年を見据えた記念シンポジウムの開催について、話し合いがもたれ、「皆でやり、盛り上げていこう(平田藤義氏談)」ということで意見がまとまった。
【移転価格税制】通常行われる取引の価格とは異なる価格をもって、関連会社間の取引が行われた場合に、一方の利益を他方に移転させることができる。海外の関連企業との取引を通じた所得の海外移転を防止するため、その取引の価格を正常な価格にひきなおして課税を行う制度。