味の素=酒井社長が帰国=後任に新谷道治氏

2007年7月5日付け

 味の素インテルアメリカーナ、味の素ビオラティーナの酒井芳彦取締役社長(味の素アミノ酸カンパニーラテンアメリカ本部長)(60)が今月、任期を終えて帰国することになり、二日、後任の新谷道治社長が来伯した。
 酒井社長は二〇〇四年六月に着任。約三年のブラジル駐在の間に、同社のブラジル進出五十周年、サンパウロ州ペデルネイラスへの新工場建設など大きな節目に立ち会った。
 〇五年には、味の素や飼料用リジン、粉末調味料「SAZON」など従来の商品に加え、個食用スープ「VONO」や粉末フルーツジュースなど新しい分野にも進出した。「SAZON」は現在、ブラジル内で八六%のシェアを占める。
 現在は国内に四工場を持ち、正社員は合弁会社の日清味の素アリメントスと合わせ約二千五百人。間接雇用を含めれば一万人以上が同社に関わる。世界の生産・輸出拠点の一つとして、ブラジルから南北アメリカをはじめ世界八十カ国に輸出されている。
 酒井氏は八二~八七年に続く二度目のブラジル勤務。「現在は為替も強く、インフレ率も低くなった。ハイパーインフレが続いた当時では考えられなかったこと」と、在職中のブラジル経済の成長、堅調な輸出や豊富な資源、農産物などの点を挙げ、今後への期待を表した。帰国後は本社勤務になる予定。
 新社長の新谷氏は現在五四歳。九四年から四年間ブラジルに、〇〇年から〇五年までペルーに駐在している。
 好調な経済状況の一方で、ドル安レアル高、砂糖など主要原料の価格が上がっている現状について、新谷社長は「為替のコントロールが必要」との考えを表すとともに、「輸出拠点としての立場とともに、国内とのバランスを取りながら発展する運営を目指したい」と抱負を語った。